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18 Feb 2019
無作為化第III相KEYNOTE-426臨床試験の結果は、明細胞転移性腎細胞がん(mRCC)の患者においてPD-1標的免疫療法ペムブロリズマブとVEGF標的チロシンキナーゼ阻害剤アキシチニブ併用の第一選択療法が、現在の標準治療であるスニチニブと比較して、患者の全生存期間と無増悪生存期間の両方を延長することを示した。
この国際的な研究の知見は、カリフォルニア州サンフランシスコで開催される2019年Genitourinary Cancers Symposiumで発表される。
「これらの結果はエキサイティングである」と、共同研究者であり、ロンドンにあるBarts Cancer Instituteの泌尿器科腫瘍学教授であるThomas Powles氏は述べた。 「VEGFを標的とした治療にペンブロリズマブを追加することで、生存率の向上を含む強力な抗がん反応が見られた – そして重要なことに、結果は幅広いサブグループの患者に渡って見られた。」
ペムブロリズマブは、免疫細胞の表面にあるPD-1タンパク質を遮断する免疫チェックポイント阻害剤であり、免疫系が腫瘍細胞を認識して攻撃することを可能にする。
アキシチニブとスニチニブは、腫瘍に対して血管の成長阻止し、その成長を制限することができる抗血管新生薬である。
米国では、2019年は、新規症例73,820と腎臓がんによる死亡14,770が見込まれており、そのうちの約95%は腎細胞がんによる。
転移性RCCは5年生存率が12%である。
研究について
この試験では、未治療の明細胞型mRCC患者861名を1日1回経口スニチニブまたは併用療法に無作為に割り付け、1週間に2回経口アキシチニブとともにペムブロリズマブ3週間ごとに静脈内投与した。
疾患の進行が見られる、患者が高い毒性を示す、または彼らが試験を中止するまで治療は続けられた。
試験の患者年齢の中央値は62歳で、参加者の73%が男性、27%が女性であった。
これらの結果は、ペンブロリズマブとアキシチニブの併用がmRCC患者において管理可能な安全性プロファイルと高い奏効率(73%)を示した、初期の第Ib相試験からの知見に基づいている。
これらの肯定的な結果に続き、研究者らはこの第III相試験を実施した。
「ペンブロリズマブとアキシチニブはどちらも単独でmRCCに対して有効性を示しています」とPowles博士は述べた。「アキシチニブなどの抗血管新生療法は免疫T細胞浸潤を促進する。」
Powles博士によると、第Ib相試験の結果は、アキシチニブがスニチニブと同じクラスの他の抗血管新生薬よりもペムブロリズマブとの併用が容易であることを示した。
主な調査結果
追跡期間中央値12.8か月で、併用療法を受かている患者とスニチニブを受けている患者との比較は以下の通り:
治療に関連した重篤な副作用は、併用療法群の62.9%、スニチニブ群の58.1%に見られた。
これらの副作用により、それぞれの群で8.2%と10.1%ですべての治療が中止された。
次のステップ
「現時点で未解決の問題がいくつかある。とくに、応答を予測するためのバイオマーカーが存在しないことである。他のがんにおける免疫療法の成功の指標となっているPD-L1レベルは、腎臓がんでは依然として証明されていないままである。ペンブロリズマブとアキシチニブを組み合わせることで、PD-L1の予測値が覆い隠されている可能性がある」とPowles博士は説明した。 「概して、奏効、無増悪生存期間、全生存期間が改善された腎臓がん研究をこれまで見たことがない。したがって、これは腎臓がんにおける大きな前進である。」
(2019年2月12日公開)