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24 Apr 2018
European Urology誌に発表した臨床試験の結果によれば、Mount SinaiとSema4(健康情報会社とMount Sinaiベンチャー)の研究者らは、転移性膀胱がん患者に化学療法と免疫療法を同時に行うことは安全であり、患者の腫瘍が、ある特定の遺伝子変異を有する場合、この併用療法に特によく反応する可能性があることを発見した。
化学療法と免疫療法は転移性膀胱がんの治療の標準的オプションとなっているが、これらの治療法が同時に実施されることが可能か、そして免疫システムを弱めるという化学療法の副作用が免疫療法を抑制するかどうかは以前には明らかではなかった。
第II相試験は6つのがんセンターで行われ、その試験の患者は、化学療法のみ、または免疫療法のみの患者より追加の、または重症化した副作用はなかった。
研究者らは、免疫療法は同時化学療法を受けている患者の血液中の免疫細胞を強める可能性があるというエビデンスをももたらした。
「化学療法と免疫療法は転移性膀胱がん治療の2つの柱であるので、われわれはこれらの治療がどのように同時に一番うまく実施されるのかをよりよく理解しようとした」と、本研究の責任者であるMatthew Galsky氏(Director of Genitourinary Medical Oncology and Professor of Urology, Medicine, Hematology and Medical Oncology at The Tisch Cancer Institute at the Icahn School of Medicine at Mount Sinai)は述べた。
「この試験結果は、化学療法と免疫療法を同時に実施することにより膀胱がん患者の治療をよりよくしようとする、もう2つの試験の構築に繋がった」
新しい試験のうちの一つは、Galsky氏がMount Sinaiと他のセンターで率いており、この併用療法が膀胱を切除するための手術を阻止できるかどうか判断するために化学療法と免疫療法を早期膀胱がん患者の一部に実施するものである。この手術は標準的治療であるが、尿を集めるために体外に人工膀胱バッグをつけることを含むQOLを変える関連事項の一つである。
もう一つの試験は、免疫療法と組み合わせる化学療法の最良のタイプを判断するために、免疫療法と異なる2つの化学療法レジメンを組み合わせる。
Dr. Galsky said that the current trial epitomises the importance of team science.
Galsky氏は最新の試験はチームサイエンスのの良い例となると述べた。
Andrew Uzilov氏(Director of Cancer Genomics for Sema4)、そしてHuan Wang氏(Sema4 bioinformatics scientist)らと同様に、Galsky氏は、特殊な遺伝子変異のある腫瘍を持つ患者が化学療法と免疫療法の併用に最もよく反応する可能性があると仮定した。
そして事実、彼らはDDR遺伝子における変異の特定の型が化学療法と免疫療法の併用により反応することに関連していることを発見した。
もしその後の研究において立証されれば、これらの結果は”precision oncology toolbox”における新しいバイオマーカーになり、化学療法と免疫療法の同時併用療法により恩恵を受ける可能性がある患者選択を改善する可能性がある。
「われわれの結果は、正確な薬物療法を可能にするためにゲノミクスを利用する一例である。DDR遺伝子における機能喪失突然変異を調べることによって、誰が併用化学療法+免疫療法レジメンでよい結果を得られるかを予測できる可能性がある」とUzilov氏は述べた。
「本研究で、効果予測バイオマーカーとしてさまざまな55 DDR遺伝子を調べた。われわれは、現在、これらの遺伝子のどれが、そしてその範囲内で変異のどの種類が、免疫療法反応の他の予測因子とDDRの状態の相互作用と同様に治療反応を最もよく予測するかをさらに調査している。」
(2018年4月12日公開)