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20 Apr 2018
10~15分毎に血糖値を測定する貼り薬の開発により、血糖モニタリングのフィンガープリックテストは、もはや過去のものになるかもしれない。
University of Bath(英国)の研究者らが開発したこの新しいパッチは、ブタとヒトの両方の皮膚における非侵襲的な血糖モニタリングを実現可能にした。
研究共著者であるRichard Guy氏(Department of Pharmacy & Pharmacology)らは、Nature Nanotechnology誌に研究結果を発表した。
米国には糖尿病患者は3,030万人ほどいると言われており、毎年150万人が新たに糖尿病と診断されている。
糖尿病2型は、全体の90~95%を占め最も多い。糖尿病2型は、体内でインスリンがうまく利用できなくなったとき、あるいは血糖値が高くインスリンを十分に分泌できないときに発症する。
フィンガープリックテストのわずらわしさ
糖尿病を効果的に管理するために、糖尿病患者は定期的に血糖値をモニターする必要がある。血糖値のモニターには、指に針を刺し、血液1滴を採取する血糖測定器を使用する。
血糖値検査の回数は、糖尿病のタイプと使用している薬物の種類によるが、糖尿病1型の患者は通常、毎日1日最大10回測定する。
血糖値の検査は、糖尿病患者にとって煩わしいものである。痛みや針に対する恐れ、血液検査ストリップ費用、自己管理の不便さが良好な血糖値コントロールの障壁となっている。
そのような状況で、研究者らは、非侵襲的な血糖モニタリングの方法を見いだそうと努力している。
「非侵襲的方法として最も近いものは、少なくとも従来の「指先穿刺」による単点較正、もしくは単針挿入した事前較正埋め込み型センサーを必要とする」とGuy氏は指摘している。
しかしながら、Guy氏らが開発した新しい皮膚パッチは、血糖モニタリングの方法を一変させる可能性がある。
パッチは正確に血糖値を記録する
皮膚パッチは、毛包細胞から分泌される液体からグルコースを「引き出す(draw out)」ために電流を用いる小型センサーからなる。
パッチは小さな「reservoir」にグルコースを集め、10~15分ごとに血糖値を測定する。このパッチは測定したグルコース値をスマートフォンやスマートウォッチに送信し、治療が必要なときに患者に知らせる。
重要なことは、パッチが皮膚を突き刺さないことである。さらに、毛包細胞という非常に小さな部分から血糖値を測定できるため、採血して測定値を確認する必要はない。
Guy氏らはブタの皮膚でテストを行い、パッチの精度を確認した。彼らは、パッチがヒト糖尿病でみられる範囲の血糖値を高精度で追跡できることを発見した。
健康なヒトの参加者によるさらなる試験で、パッチが6時間にわたり血糖値を正確に追跡できることがわかった。
研究チームは、今後、血糖モニタリング期間を24時間に延長し、精度を高めるためにパッチ内のセンサーの数を増やしたいと考えている。
そのような改良によって、研究者らは、皮膚パッチにより、本当に必要とされる非侵襲的血糖モニタリング技術を糖尿病患者に提供できると確信している。
「非侵襲的、すなわち、針なし血糖値測定法を実現することは難しい目標であることが証明された」とGuy氏は指摘している。
「University of Bathで開発された血糖モニターは、真に較正なしアプローチが期待でき、全世界で増え続けている糖尿病への対応に本質的に寄与する」
https://www.medicalnewstoday.com/articles/321440.php
(2018年4月10日公開)