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MNT : 糖尿病 : 遺伝子治療によって血糖値は正常化するか?

22 Mar 2018

研究者らは、1型糖尿病のマウスモデルにおいて正常血糖値に戻す方法を発見した。それは、将来、1型糖尿病や2型糖尿病の人々にとって有望な治療法であると判明する可能性がある。


University of Pittsburgh School of Medicine(米国ペンシルベニア州)の外科と小児科の教授であるGeorge Gittes氏とチームが本研究を率いた。その結果は、Cell Stem Cell誌に掲載された。

1型糖尿病は、慢性自己免疫疾患であり、米国では約125万人の小児および成人が影響を受けている。

通常は細菌や異物を殺す免疫システムが、すい臓内でみられるインスリン産生β細胞に誤って攻撃を開始する。その結果血糖値が高くなる。

長い期間をかけて、1型糖尿病は主要な臓器に重大な影響を与え、心臓と血管の疾患、神経、腎臓、目や足、皮膚と口腔の状態へのダメージ、そして妊娠中の合併症を起こす可能性がある。

1型糖尿病の研究者らは、β細胞に対して機能を維持、そして修復し、次に、エネルギーのために血糖を細胞に運ぶことを担うインスリンを補給する治療を開発目標としてきた。


この解決策の一つの障壁が、β細胞置換療法からできる新しい細胞も免疫システムによって破壊される可能性があるということである。

このハードルを乗り越えるために、研究チームは他の、同様の細胞がβ細胞と同じような方法で行動し、インスリンを産生するように作りなおされるが、それらの細胞は免疫システムによって認識や破壊されない程度に異なるという仮説を立てた。

β細胞に作りなおされたα細胞

研究チームは、2つのタンパク質Pdx1とMafAをマウスのすい臓に運ぶアデノ随伴ウイルスベクター(adeno-associated viral vector)を操作した。Pdx1とMafAβ細胞増殖、機能そして成熟をサポートする。そして、最終的にα細胞をインスリン産生β細胞に変換できる。
α細胞は再プログラムには理想的な候補だった。それらは豊富で、β細胞に似ており、すい臓にある、それらは再プログラムの過程に役に立つ可能性がある。

形質転換α細胞の解析はβ細胞へのほとんど完全な細胞再プログラムを示した。

Gittes氏らは、糖尿病マウスモデルにおいて、血糖値が遺伝子治療により約4か月間もとの状態に戻ったことを示した。研究者らは、in vitro でPdx1 と MafAがヒトα細胞をβ細胞に変換することを発見した。

「ウイルスの遺伝子治療は自己免疫発作に対して比較的耐性のある、これらの新しいインスリン産生細胞を創出するようにみえる」とGittes氏は説明する。「この耐性はこれらの新しい細胞が正常なインスリン細胞とは少し異なるが、それらがよく機能しないほど異なるわけではないという事実によるようにみえる」

糖尿病遺伝子治療の将来

アデノ随伴ウイルスベクターは、最近、ヒト遺伝子治療試験において研究されており、最終的には非外科的内視鏡手術を通してすい臓へ送られる可能性がある。しかしながら、研究者らは、マウスにおいて観察された保護は永久的ではなかった。そして、マウスモデルにおいて4か月間血糖値が回復したことは、人にとって数年に置き換えられる可能性がある。

「本試験は、正常血糖に繋がる自己免疫糖尿病における臨床的に翻訳可能な単純なシングルインターベンションの基本的に最初の記述である」とGittes氏は述べ、「そして、重要なのは免疫抑制がない」

「アデノ随伴ウイルスベクター遺伝子治療をするための患者における実現可能性とともに、糖尿病の改善という素晴らしい本質を考えると、近い将来、1型、2型糖尿病両方における臨床試験が非常に現実的である」
George Gittes氏

科学者らは、非ヒト霊長類において遺伝子治療を研究している。もし成功すれば、糖尿病患者において使用する許可を得るためにFDAとともに連携し始めるだろう。

https://www.medicalnewstoday.com/articles/320544.php

(2018年1月8日公開)

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