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12 Jan 2018
早期乳がんと診断された40歳未満の女性は、同様に診断されたより年齢の高い女性より相対生存率が低い傾向があるのはなぜか。新研究では、遺伝的に説明できる可能性があることを明らかにした。
英国のUniversity of Southamptonの研究者らは、早期発症乳がんの15歳~39歳の女性は疾患進行の増大に関連があった特異的遺伝子変異を保有していることを発見した。
筆頭著者であるUniversity of Southampton医学部のWilliam Tapper氏と研究チームは、彼らの結果はなぜ乳がんの若年女性ほど生存率が低いのかを解明するだけでなく、疾患に対して新しい治療ターゲットを提供すると述べる。
研究者らは、先日、Nature Communications誌に研究結果を発表した。
米国では、女性の中では、皮膚がんに続いて、乳がんが最も一般的ながんである;女性が生涯でその疾患を発症するのは8に1つの可能性がある。
乳がんは40歳以上の女性では最も一般的である;米国では、40歳未満の女性は浸潤性乳がんの新規症例の約4%のみを占めている。
しかし、より若年の女性が乳がんを発症するリスクはさらに低い一方で、乳がんと診断されると、彼女らの相対生存率はさらに低い。
若年女性は、しばしばもっと悪性の乳がんと診断される。それにより、生存がより低いことがある程度まで説明可能である。しかしながら、Tapper氏らの新研究では、特定の遺伝子変異がある役割を果たしている可能性があると指摘する。
ADAMTSL1遺伝子で発見された変異
研究者らは、乳がんと診断された全部で6,042名の女性を含む4つのコホートのメタ解析を実施して彼らの知見に到達した。これらの女性のうち、2,315名が15歳から39歳であった。
研究チームは、診断時の乳がんのステージ、女性の全生存、そして遺伝子発現プロフィールに注目した。
早期発症乳がんと診断された若年女性の中では、ADAMTSL1遺伝子の中の2つの一塩基変異多型が疾患進行のより大きなリスクに関連していた。
一塩基変異多型は、どのように遺伝子が機能するかに影響及ぼす可能性のあるDNAシークエンスにおける変異である。そして、これが疾患においてある役割を果たしている。
研究者らは、「この見解はユニークな疾患発症機序がより若い女性における生存に影響を及ぼし、なぜ若年発症乳がんの予後が悪いのかに対する生物学的洞察を提供する可能性がある」と述べる。
さらに、Tapper氏らは、結果が早期発症乳がんと診断された若い女性に新しい診断と治療戦略の道を開くだろうと述べる。
「われわれの結果は、乳がん予後に関わる遺伝子と経路の理解を深め、新しい治療の発展に新ターゲットを提供する可能性がある」
William Tapper氏
「短期から中期において、この遺伝的要素が予後モデルを改善するために使われる可能性がある」とTapper氏は続ける。
「長期では、この関連性に内在するメカニズムと治療反応との関係についてさらに理解するとき、それは最も効果的な乳がん治療にアプローチへの影響を持つ可能性がある」
https://www.medicalnewstoday.com/articles/320387.php
(2017年12月15日公開)