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27 Oct 2017
遺伝的に1型糖尿病にかかりやすい子どもがビタミンDを十分摂取すれば、病気のリスクが抑制される可能性がある。これは、Diabetes誌に掲載された新研究の結果である。
研究者らは、ビタミンDの血中濃度が低い子どもは、ビタミンDの血中濃度がより高い子どもに比べて、膵島自己免疫を経験する可能性がさらに高い。
膵島自己免疫は、免疫システムが間違って膵臓のインスリン産生細胞を攻撃する過程であり、1型糖尿病の原因となる。
Jill Norris氏(Colorado School of Public Health (Anschutz、米国)と研究者らは、本研究はビタミンDの血中濃度が高ければ、膵島自己免疫を防ぐ助けになる可能性があることを初めて示したと述べた。
1型糖尿病は体がインスリンを十分産生できない病気である。インスリンは血糖値を調整するホルモンである。
1型糖尿病では、免疫システムがしばしば膵島と称される、ランゲルハンス島と呼ばれる膵臓細胞に攻撃を始める。これらはβ細胞を含む細胞の集団である。その機能は血中のグルコースを看破し、必要な時にグルコースを放出する。
膵島に対する免疫攻撃の結果として、β細胞は十分なインスリンを産生できず、血糖値が非常に高くなる原因となる。
1型糖尿病は年齢にかかわらず発症しえるが、小児期の発病が最も一般的である。American Diabetes Associationによれば、米国では、約125万人の子どもと成人が1型糖尿病である。
論争に対処する
従来の研究では、ビタミンD値が低いと、1型糖尿病のリスクを高める可能性があることが示された。そのような試験に対して、研究者らはビタミンD値がより高ければ、1型糖尿病に対して予防効果があるかどうかを調査していた。しかし、これらの試験は矛盾する結果を生み出した。
ビタミンDは、太陽がビタミンDの体の主たる供給源であるので、しばしば”sunshine vitamin”と呼ばれる。さらに、脂肪性の魚、チーズ、卵黄を含む食べ物にも存在する。そして、栄養補助食品としても入手できる。
この最新の研究で、Norris氏らはビタミンD値と1型糖尿病の関係についてさらに調査することを目指した。特に、小児期におけるビタミンD値が膵島自己免疫に影響するかどうかを調査した。
「ビタミンDが膵島自己免疫と1型糖尿病の発症リスクを低下させるかどうかについて、科学者たちの間では数年間論争があった」と、Norris氏は述べた。
https://www.medicalnewstoday.com/articles/319850.php
(2017年10月24日公開)