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19 Oct 2016
過去10年にわたる治療法である経口抗がん剤治療の発展により、ノンアドヒアランスの問題が浮き彫りになってきた。
抗がん剤は、投与する場合のみ実際の効果がある。
予測に反して、多くのがん患者は抗がん剤を処方に従って服用しない。
ESMO2016にて、フランス、カーン市のCaen Centre Francois Baclesseに所属するFlorence Joly 氏とMelanie Dos Santos氏は、「経口抗がん剤治療における認知障害の影響(Impact of cognitive functions on oral anticancer therapies adherence)」を発表し、認知障害が隠れた主要要因(parameter)である可能性を浮き彫りにした(特に高齢患者では)。
Joly氏は「この初期研究の目的は、どの患者がノンアドヒアランスの傾向があるかという患者プロフィールを識別するために、認知障害と経口剤治療におけるアドヒアランスの関連性を評価するものであった」と述べた。
「この研究は、新たな経口剤を服用する患者によるもので、その半数は70歳以上であった。治療開始前には、自律性(うつ病と不安障害)を評価する標準神経心理テストバッテリーが行われた。社会人口統計学の情報も加えられた。経口剤のアドヒアランスは、自己評価アンケートと服用順守シートによって評価された」
経口抗がん剤治療の開始前に認知機能に注目することは、経口抗がん剤治療の自己管理が滞る傾向にあるの患者プロフィールの識別と関連し、特に高齢患者における臨床上の意思決定に役立つ。
患者ががん治療法を遵守することは重要であることから、ESMO2016ではPatient Advocacy Track セッションでもこの問題を議題とした。
経口抗がん剤治療に対するノンアドヒアランスの問題は、患者や医療制度にとって高額であることと共に、治療効果や死亡率に影響を与えるかもしれない。
ESMO Patient Advocacy Working Groupの議長である Bettina Ryll氏は、国際的なノンアドヒアランスに注目し、「私は、アドヒアランスの最近の概念が狭すぎると思う。すなわち、医者は患者が処方通りに薬剤を服用すると思っている。そしてノンアドヒアランスはその反対の形だと考えられている。患者が処方通りに薬剤を飲まないといった意図的なノンアドヒアランスでは、患者の本当の希望が実際明らかであり、これは、医師や投資家が考える内容とは全く異なるかもしれない。患者の希望に対してアドヒアランスを行うのではなく、われわれは最初に理解し、ノンアドヒアランスの根本にある本当の理由に取り組む必要がある」と加えた。
Ryll氏は、「がん専門医が、がん治療に対してノンアドヒアランス化する危険な患者の転帰を改善するために、がん治療に対してノンアドヒアランス化する患者の起動要因と特徴を理解する必要がある」と述べた。
http://ecancer.org/news/10199
(2016年10月4日公開)