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MNT : 循環器 : 高血圧は認知低下や認知症のリスクを上げる

14 Oct 2016

高血圧の人々、特に中年層は、晩年における認知機能障害と認知症のリスクが上がる。これはHypertension誌に発表されたAHA(米国心臓協会)の科学的声明の結論である。

米国における約750万人―または3人に1人―の成人が高血圧または高血圧症である。高血圧の有名な合併症としては、脳卒中、心臓発作、そして心不全が挙げられる。次第に、研究者らは高血圧症と認知低下の関係について強力な証拠を明らかにしてきた。

特に、研究では、高血圧は血管性認知障害、または血管性認知症―脳への血流が低下した結果として脳機能が低下すると定義されている―リスク要因であることを示唆してきた。Alzheimer’s Associationによれば、血管性認知症は認知症の最も多い原因の二番目であり、全症例の約10%を占めている。
声明の共著者、かつAHAの執筆委員会の委員長であるCostantino Iadecola氏は、高血圧を治療することが関連心臓合併症のリスクを減少させることは知られているが、そのような治療が高血圧関連の認知低下のリスクを下げるかどうかは明らかではない。

高血圧症と認知低下の関係についてよりよく理解することを視野に入れて、Iadecola氏と共著者らは、高血圧が脳卒中、血管性認知症そしてアルツハイマー病を含む広範な脳疾患にどのように影響するかを調査しつつ、今までの研究のレビューを実施した。

中年期の高血圧が晩年の認知症低下に関係があるという強固な証拠

彼らの解析から、研究チームは、高血圧は脳内の血管の構造と機能を妨げると結論付けた。これは、認知機能にとって重要な脳内の白質へのダメージを引き起こす。それが、認知症のリスクを上げる可能性がある。

特に、晩年の高血圧と認知障害の関係は不確かではあるが、研究者らは中年期における高血圧は晩年の認知低下に関係することを示す強力な証拠を発見した。

認知症の真実
・ 世界中で、約4億6800万人が認知症である
・ 2050年までに、認知症は世界で約1億3150万人に影響を及ぼすと見積もられている
・ 認知症の人々の約58%が発展途上国で暮らしている

認知機能に対する降圧薬の影響を調査した試験を評価すると、著者らはいずれの根拠も不明確であることを発見した。

「多くの観察研究は、高血圧症を治療することが高血圧の認知力、特に血管性認知障害への影響を低減する可能性があることを示唆している。しかし、観察研究は原因と影響を精査するために計画されていない」と、Iadecola氏は説明する。

「我々は、特に中年期に高血圧を治療することが、晩年における認知症障害のリスクも減少させるかどうかを決定する―原因と影響を証明するーための無作為化比較試験が必要である」と、彼は加えた。

よって、ヘルスケア提供者らが認知症患者における高血圧をどのように治療すべきかについて証拠に基づく提言を著者らが作成することはできないと述べる。

Iadecola氏は、SPRINT-MIND study が―高血圧治療が認知機能にどのように影響するかを究明することを目的とするNIHの資金提供による試験―将来の更なる助言を提供する可能性がある。
同時に、著者らは高血圧の人々が標準治療を続けるべきであると述べる。

「賢明な高血圧治療は、ケアと個人の特徴(年齢や併存疾患など)のゴールを考慮しつつ、血管の健康、結果として脳の健康を保護するために正当化されるように見える」と彼らは付け加えた。

http://www.medicalnewstoday.com/articles/313406.php
(2016年10月14日公開)

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