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14 Oct 2016
スタチンは、コレステロールを下げ、かつ循環器疾患リスクを低減する第一選択治療に引き続きとどまるべきである。しかし、スタチンの忍容性が認められない場合、非スタチン治療が同様に有益となる可能性がある。これは、JAMA誌に掲載された新しい研究結果である。
スタチンは、肝臓内のコレステロール産生酵素、いわゆるHMG-CoAレダクターゼを阻害する薬剤である。これは、心臓発作、脳卒中および心疾患のリスクを増加する悪玉コレステロールであるLDLコレステロールの産生を低下する。
研究の共著者である、ハーバード大学Brigham and Women’s Hospital(ボストン、米国)のMarc S. Sabatine氏とチームは、LDLコレステロールを下げるためにスタチンを使用する臨床的なメリットは、臨床試験における安全性と効果に関する質の高いエビデンスによって広く受け入れられている。
American Heart Associationによれば、スタチンは心臓発作と脳卒中のリスクを直接下げることを示した唯一のコレステロール降下薬の種類である。そのため、しばしば高LDLコレステロール患者の薬物治療の第一選択となる。
しかしながら、非スタチンコレステロール降下療法に関しては、そのメリットは不明確である。
非スタチン療法も、コレステロール降下においては、スタチンと同様に効果がある
本研究で、Sabatine氏と研究チームは、LDLコレステロール値と心疾患のリスクにおいてスタチンと非スタチン療法の効果を評価することを目指した。
研究者らは、1966年から2016年の間に実施された49の無作為試験のレビューとメタ解析を行った。それらの試験の参加者は、平均年齢62歳の31万2,175名であった。
コレステロールの真実
・米国における約7,350万人の成人が高LDLコレステロールである
・高LDLコレステロールの成人の半分以下しか治療を受けていない
・高LDLコレステロールの人々は、正常値の人々より心疾患のリスクが倍である
心臓発作、脳卒中、心血管死を含む、合計39,645の主要心血管イベントが参加者のなかで起きた。そして本研究では、9つの異なるコレステロール降下療法が評価された。
これらの治療法を比較するために、本研究では、それらの治療法を4つのグループに分けた。
・スタチン
・主に、食事、胆汁酸抑制薬、回腸バイパスのようなLDLレセプターの発現を増加させることによってコレステロールを下げる非スタチン療法
・フィブラート系薬、ナイアシン、コレステリルエステル転送タンパク阻害薬のようなLDLレセプター発現を増加させない療法
・PCSK9 阻害薬―肝臓のPCSK9 タンパク活動を阻害することによって、LDLコレステロールを下げる新しい種類の薬剤
研究チームは、PCSK9 阻害薬がどのように心血管転帰に影響するかを独自に調査する研究は未だ完遂されておらず、したがって、今までこれらの薬剤のためのデータは別々に評価され、LDLレセプターの発現を増加させる療法のためのデータと比較されたと述べた。
解析の結果、LDLレセプターの発現を増加させるスタチンと非スタチン療法はLDLコレステロールを低減し、主要心血管イベントのリスクを低減するためには、両方とも同様に効果的であった。
どちらのタイプの療法でも、LDLコレステロールが39 mg/dl減少するごとに、主要心血管イベントのリスクが23%減少することが示されたと研究チームは述べた。
Sabatine氏らによれば、彼らの結果は、違うタイプの療法に利用可能な研究結果の長所を踏まえると、注意深く考慮する価値がある。
著者の追加コメント:
「最新のガイドラインにより、忍容性がある場合、LDLコレステロールで観察された大幅な減少、優れた安全性、これまでの臨床的ベネフィット、そして安いコスト(現在、ほとんどがジェネリックである)を考えると、スタチンは第一選択薬となるべきである。
しかしながら、現在のメタ回帰分析データは、ほかの治療介入、特に究極的にはLDLレセプター発現の上方調節を通して大部分は活動する治療介入が、追加の選択肢を提供し、LDLコレステロールの減少において1 mmol/lごとに同様な関連臨床的メリットにつながる可能性を秘めている可能性を引き上げる」
http://www.medicalnewstoday.com/articles/313132.php
(2016年9月27日公開)