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14 Oct 2016
英国の研究者らは、2型糖尿病の一因となるすい臓におけるインスリン産生細胞の破壊を助ける遺伝子を発見した。
Cell Death and Disease誌に発表された研究結果によれば、研究者らは、TNFR5と呼ばれる遺伝子を阻害すると、破壊のプロセスがどのように止まるかを明らかにした。この発見は2型糖尿病に対する新しい治療につながる可能性がある。
米国糖尿病協会によれば、約2億9,100万人が糖尿病とともに生活している。
これらの症例の大半は2型糖尿病であり、それはすい臓内のベータ細胞が十分なインスリンを産生しないか、体が産生されたインスリンを使うことができないかのどちらかである。インスリンは血糖値を調整するのを助けるホルモンである。
通常の血糖値検査と薬物療法は2型糖尿病患者の血糖値管理を助けることができるが、さらに効果的な治療法が必要である。
研究のリーダーである、英国School of Science and Technology at Nottingham Trent UniversityのMark Turner氏と研究者らは、この遺伝子の発見がこの必要性にかなう可能性を持っていると信じている。
TNFR5 遺伝子は、高血糖と高脂質に反応するベータ細胞を破壊する
研究チームは、高脂肪と高糖質の食事に長時間さらされると、2型糖尿病患者においてはベータ細胞の破壊が激化するが、このプロセスの背後にあるメカニズムが明確でなかったことを証明した。
Turner氏とそのチームは、本研究において、遺伝子が原因かどうかを究明することを目指した。
研究者らは、高密度マイクロアレイ解析を使い、脂肪と糖が多い食べ物の産物である糖酸および脂肪酸に対してどの遺伝子が最も感度が高いかを正確に指摘するために、すい臓に関連する31,000以上の遺伝子を評価した。
研究者ら、TNFR5遺伝子が糖酸および脂肪酸に最も感度が高いこと、そして高脂肪と高血糖に反応したこの遺伝子の過剰発現がベータ細胞の破壊につながることを発見した。
著者らによれば、これの発見は2型糖尿病患者、特に血糖管理ができていない患者または未診断者はTNFR5遺伝子が過剰発現し、それゆえベータ細胞破壊が悪化する傾向が高いことを示唆している。
しかし、良いニュースもある。臨床試験では、糖酸と脂肪酸に暴露したベータ細胞におけるTNFR5遺伝子の阻害が破壊を止めた。
これは、TNFR5遺伝子の活動を阻止することが2型糖尿病に対する有望な治療戦略になる可能性があることを示唆している。
Mark Turner氏のコメント:
「高血糖と高脂質によって起こるインスリン産生すい臓ベータ細胞の低下につながる重要な初期変化の一つを発見したと信じている。そのような遺伝子が新しい薬物療法戦略の研究において重要なターゲットになる可能性があるので、もし成功するならば、どれかがすい臓の機能を維持、そして2型糖尿病患者の血糖値のコントロールの助けになる可能性がある」
http://www.medicalnewstoday.com/articles/312786.php
(2016年9月11日公開)