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MNT : 認知症 : アルツハイマーのワクチンが新研究に近づいている

17 Aug 2016

米国とオーストラリアの研究者らが、この疾患の発症と進行における役割を担う脳タンパク質を首尾よく標的とする処方を明らかにした後、アルツハイマー病のワクチン試験が、今後3~5年以内に人間で実施される可能性があることを示唆した。

研究共著者である、オーストラリアFlinders University School of MedicineのNikolai Petrovsky教授と研究者らは、組み合わせワクチンがどのように脳内のベータアミロイドとタウタンパク質—両方ともアルツハイマーの危険信号と考えられている—を標的とする抗体を産生するかを明らかにする。

ベータアミロイドは、プラークを形成しながら、アルツハイマーの人々の脳内に蓄積することは知られている。一方で、タウタンパク質はもつれを形成する。プラークともつれは、神経細胞間の信号伝達を破壊し、神経細胞死の原因となると考えられている。

「これらのタンパク質は、少しばかり私道における車のようである」とPetrovsky教授はABC Adelaideに説明した。
「主にそれは、アルツハイマーまたは認知症になる人々において起きること、つまり彼らが脳内にこれらの破壊されたタンパク質を持っていることです」
Scientific Reports誌での報告では、研究チームは、アルツハイマーマウスモデルにおいて、ワクチン処方が安全かつ効果的かがどのようにわかったかを述べている。

組み合わせワクチンがアルツハイマーのタンパク質に対する抗体反応を強化する

研究者らは、アルツハイマーの予防と治療法の研究に数十年も費やしてきた。しかし、なかなか成功しなかった。
2002-2012年の間に、アルツハイマーに対して、244の化合物の安全性と効果を評価するための413の臨床試験が世界中で実施された。これらの臨床試験では、たった一つの新薬–アルツハイマーの症状の短期的な緩和を誘導する–しか生まれず、成功率は0.4%だった。
今までの臨床試験におけるこのような不良転帰の結果、米国のNIHはアルツハイマーの研究への財政的支援を3億5000万円増額し、これにより、米国における研究資金の総額は、今年1兆3億円となった。

Petrovsky教授と研究者らによれば、このような資金援助によって実験的ワクチンの開発ができた。それは、彼らがいうところの、MultiTEPワクチンプラットフォームとAdvaxから成っている。

チームによれば、MultiTEPによるアプローチは、ベータアミロイドとタウタンパク質に対する高い抗体反応を単独で、または結合して産み出す一方、Advaxは抗体反応をさらに強めるアジュバント・ワクチンである。

本研究では、研究者らは、その処方はアルツハイマーのマウスモデルにおいて効果的、かつ忍容性があった。

「この研究は、アルツハイマー患者の早期、またはアルツハイマーのリスクがある健康な人々に、抗アミロイドベータワクチンを使って免疫力をつけ、病気が進行した場合、効果を強めるために抗タウワクチンを接種することが可能であることを示唆している」Study co-author Prof. Michael Agadjanyan, Institute for Molecular Medicine, California

Alzheimer’s Associationによれば、米国では約5,400万人がアルツハイマーと共に生き、この数は、有効な治療戦略が発見されない限り、2050年までにほぼ3倍になると予想されている。

研究者らは、4つの会社と、このワクチンの非臨床的安全性と毒性の評価を実施する予定である。これは、米国Food and Drug Administration’s (FDA) Investigational New Drug プログラムで必要とされている。

ワクチンがこれらの前臨床試験において成功すれば、研究者らは、今後3~5年以内にアルツハイマーのリスクが高い人々や疾患早期の人々にワクチンの試験をする可能性がある。

http://www.medicalnewstoday.com/articles/311731.php
(2016年7月18日公開)

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