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08 Jul 2016
University of Aberdeenの新しい研究によれば、糖尿病治療に使われている薬剤がアルツハイマー病の治療に使われる可能性があり、その反対もありえる。
これは、従来考えられていたように、最初に糖尿病が発症するのではなく、アルツハイマー病が糖尿病の誘因になることを示す初めての研究でもある。
本研究では、アルツハイマー病と2型糖尿病は密接な関係があるので、糖尿病の血糖値を管理するために現在使用されている薬剤は、アルツハイマー病の症状や進行も和らげる可能性があると報告している。
European Association for the Study of Diabetesの公式ジャーナル Diabetologia 誌に発表された論文では、脳内の認知症関連の合併症はグルコース処理と最終的には糖尿病における変化を引き起こす可能性があることを発見した。これは、以前考えられていたこと、つまり糖尿病が膵臓の異常、または高脂肪で糖分の多い食事から始まるという考えに反する。
本研究は、Bettina Platt氏が指揮し、彼女のアルツハイマー病研究チームとMirela Delibegovic氏率いる糖尿病研究チームが共同で実施した。研究チームは、高齢患者において、なぜ一般的に2つの疾患が一緒にみつけられるのかを調査した。
研究者らは、アルツハイマー病のモデルを開発し、アルツハイマー病のような症状だけでなく、糖尿病合併症の発症につながる脳内のある遺伝子レベルの上昇が毒性タンパク質の産生にかかわることを発見して驚いた。
Platt氏は、研究について以下のように述べた。
「多くの人々が糖尿病とアルツハイマー病の関係に気づかなかった。しかし、事実、アルツハイマー病の約80%が何らかの形で糖尿病やグルコース代謝障害を持っている。これは、アルツハイマー病が大多数において遺伝性であることに関連しており、それゆえ生活スタイルの要素と併存疾患が原因とされるべきである。
「われわれの研究チームは、認知症における生活スタイル関連要素の影響に特に関心を持っている。そして、糖尿病とメタボリズムの専門家と共同することで、その関係の本質を綿密に調査することができた。
今まで、われわれは、常に肥満の人々が2型糖尿病になり、それから認知症になる可能性が高まると仮定してきた。が、われわれは今、実際にはそれが逆に作用することを示唆している。
さらに、以前は、糖尿病が、多くの場合不健康な食事を摂ったために、膵臓と肝臓の周辺で始まると信じられていた。しかし、われわれは脳内の調節障害が同時に非常に重症の糖尿病発症につながることを示唆している。つまり、糖尿病は必ずしも肥満から始まるのではなく、脳内の変化から始まる可能性があることを再度示唆している。
本研究は、アルツハイマー病における新しい治療の切り口のきっかけとなる。そして、われわれは、肥満と糖尿病の調節障害に使われる一部の化合物は同様にアルツハイマー患者にとって恩恵となる可能性がある。
それらの薬剤がアルツハイマー病と糖尿病の症状の両方を治療可能かどうかをみるためにテストしている、現在使用可能な多くの新しい薬剤があることは朗報である。われわれは、アルツハイマー病のために開発された新しい治療が糖尿病と認知的症状の両方を改善できるかどうかの研究が可能であろう。
Article: Neuronal human BACE1 knockin induces systemic diabetes in mice, Kaja Plucińska, Ruta Dekeryte, David Koss, Kirsty Shearer, Nimesh Mody, Phillip D. Whitfield, Mary K. Doherty, Marco Mingarelli, Andy Welch, Gernot Riedel, Mirela Delibegovic, Bettina Platt, Diabetologia, doi: 10.1007/s00125-016-3960-1, published online 2 May 2016.
http://www.medicalnewstoday.com/releases/311164.php
(2016年6月23日公開)HARE