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30 Jun 2016
化学療法と1日1回6.5週または1日2回3週の放射線治療との併用は、転移前の小細胞肺がんにおいても良好である。
Cancer Research UKの支援による本臨床試験の結果は、 ASCOにて発表された。患者および医師が、どの治療が最適かをともに選択できるという内容である。
CONVERT臨床試験は、本疾患群における過去最大の試験であり、小細胞肺がんに対する最適な療法として放射線治療と化学療法併用に着目した。
本試験はまた、現代の放射線治療技術により、従来の研究と比べて小細胞肺がんの生存率の延長と副作用の減少が示された。
世界の患者550名が、放射線治療1日2回3週の群と、1日1回6.5週の群の2群に分けられた。
全患者が化学療法も受けた。
University of ManchesterとChristie Hospital、そしてフランス・スペイン・ベルギー・オランダ・ポーランド・スロベニア・カナダの研究者らは、生存率と副作用について調査した。
両群の生存率に大きな差はなく、2年生存率で1日2回の患者群が56%、1日1回の群が51%であった。
重要ポイントとして、放射線治療の副作用は両群間で大きな差はなかったものの、好中球減少症すなわち免疫システムの弱体化が見られ、1日2回の治療群でより頻繁に発生した(1日2回が74%に対し、1日1回は65%)。
試験結果は、1日1回または1日2回の放射線治療と化学療法の併用を、転移前の小細胞肺がんの標準治療とすることをサポートする内容である。
これは、各患者が、医師とともに、患者や病院にとって最適な治療法を検討することができることを意味する。
以前は、1日1回または2回の放射線治療にて用量の定めはなかったが、この試験では、最適な用量は1日1回66 graysと1日2回45 graysと検証された。
本試験は、さらなる5年のフォローアップを要するが、結果はすでに英国および世界における臨床診療に変化をもたらしている。
University of Manchesterの教授でCancer Research UKの資金助成を受けている筆頭著者、Corinne Faivre-Finn氏は、次のように述べた。「本試験以前は、1日1回または2回の放射線治療の生存率における有効性、そして現代の放射線治療における副作用レベルが不明確であった」
「われわれはこれらの質問の回答を快く提供し、本結果は世界中の診療に変化を与え始めている。この知見に基づき、小細胞肺がん患者が1日2回の短期放射線治療か1日1回の長めの放射線治療かを選ぶことができる」
サウスポート出身51歳Jane Jepson氏は、4年前、CONVERT試験に参加し、1日2回3週の放射線治療を受けた。「この試験に関する良い知らせを聞けるのは素晴らしいことである。私と同様の患者らの治療に影響を与えるような試験に加われたことをうれしく思う」
「私は2012年8月に小細胞肺がんの診断を受けた。当初、腎臓の感染症のため病院に入院したが、X線により肺内で何かが発見された」
「私は、治療を初めて以来、結婚し、孫は4歳になり、もう1人の孫を迎えようとしている。私はここにいるべきではないのだが、私の治療に関わった皆様へ感謝の気持ちでいっぱいである」
Cancer Research UK の臨床試験責任者であるIan Walker氏は、「放射線治療などの最も適切な治療法の発見は、がん治療に欠かせない。この研究が始まる前は、小細胞肺がんにおけるこの種の大規模な臨床試験はほとんどなかった」
「肺がんの転帰は長い間悪かった。そこで、Cancer Research UKでは、劇的にこの分野の研究を拡大し、CONVERT試験において、これらの患者の治療方法における真の相違を示したことを誇りに思う」
Cancer Strategy in Englandは、緊急に旧式の放射線療法装置を新しく交換するよう国家資金に呼びかけたが、GovernmentとNHS Englandはまだこれを了承していない。
http://ecancer.org/news/9545
(2016年6月5日公開)