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07 Jun 2016
食塩の摂りすぎは、血圧上昇と心臓障害のリスクの増大に関連してきた。しかし、新しい研究では、減塩摂取も同程度に有害である可能性がある。
Lancet誌に発表された研究では、減塩または低ナトリウム摂取により、心臓発作、脳卒中、死亡のリスクが、平均的塩分摂取に比べて上昇する可能性があることを示した。
筆頭著者で、カナダ Michael G. DeGroote School of Medicine at McMaster UniversityのAndrew Mente氏とそのチームは、この結果は食塩摂取過剰で高血圧の人たちのみ塩分摂取を減らすべきであることを示した。
さらに、研究者らは、最近推奨されている1日の塩分摂取量はあまりにも低く設定されている可能性があると指摘している。
米国人の栄養ガイドラインは、米国人の1日のナトリウム摂取量2,300 mg(ティースプーン1杯)以下を推奨している。
しかしながら、今年初めのCDCのレポートでは、約90%の米国人が推奨された量より多く塩分摂取していることが分かった。
食品中塩分の過剰摂取は、心臓発作、脳卒中、そして他の心疾患のリスクを増大させる高血圧を引き起こす可能性があることは世界中に広く受け入れられている。
しかし、現状のガイドラインで推奨されているレベルまで塩分摂取を減らせば、そのような転帰のリスクを本当に減少できるのか。これが、Mente氏とチームが目指した研究である。
高血圧患者にのみ、塩分の過剰摂取によるリスクがある
研究チームは、49カ国にわたる13万人以上のデータを解析した。
研究者らは、参加者のナトリウム摂取と高血圧のある人々とない人々の中で、これが心臓疾患と脳卒中のリスクにどのように関係しているかを調べた。
心臓発作、脳卒中、死亡の割合は、参加者が高血圧かどうかにかかわらず、平均的なナトリウム摂取の人々に比べて、低ナトリウム摂取の人々のほうが高かった。
興味深いのは、本研究における低塩分摂取は1日3,000 mgより少ない摂取と定義されていた。この量は、米国における現在の推奨より上である。
さらに、研究者らは高血圧のある個々人のみ高塩分摂取に関連するリスクにさらされるように見えた。
研究チームの結果は、高血圧の人々にとって極めて重要であるとMente氏は述べた。
「我々のデータは、高血圧の人々における塩分の過剰摂取を少なくすることの重要性を強調している一方で、塩分摂取を少なくすることを支持するものではない。我々の結果は、低ナトリウムに最適なのは、高ナトリウム食を摂っている高血圧の人々であると示しているから重要である」と、Andrew Mente氏は述べる。
本研究は現在の塩分摂取推奨に疑問を呈す
彼らの結果に基づいて、Mente氏は、塩分摂取を下げる戦略は、高塩分摂取をしている高血圧患者をターゲットにするべきと提案している。
さらに、その結果は塩分摂取の現在の1日摂取量があまりにも低く設定されている可能性がことを示していると研究チームは考えている。
「本研究は、塩分摂取と健康の関係について理解を深めるが、人口全体における低ナトリウム摂取を推奨した現在のガイドラインの妥当性に疑問を投げかける」と、共著者である、McMaster University とNational University of Ireland GalwayのMartin O’Donnell氏は述べる。
「特に高血圧の人々に焦点をあてると、控えめな塩分摂取を推奨するアプローチが、最近のエビデンスにもっと適しているようにみえる」
http://www.medicalnewstoday.com/articles/310447.php
(2016年5月21日公開)