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ecancer : 全般 : AACR2016 : 新しい数学モデルが、発がんにおける環境因子と内因子の役割の明確化に有用である可能性

06 Jun 2016

発がんではなく、根源事象(昨年の2つの研究による報告より、一つは「bad luck」仮説をもたらした)としての、突然変異誘発活性と推定される特異性のがんの発生からなる突然変異の数による数学モデルは、発がんにおける環境因子と細胞因子の役割の明確化に有用であることが、AACR2016にて発表された。

「がんを引き起こす環境因子と細胞因子の影響を理解することは、重要である。なぜなら、早期発見より、がん予防の重点を明確化するのに有用であるからだ」と、Genetics Branch of the National Cancer Institute (NCI)の科学者Sven Bilke氏は述べた。「この知見より、がん診断を受けた人々がいだく後悔も理解することができる」

Bilke氏らは、Cristian Tomasetti氏とBert Vogelstein氏が昨年Science誌にて発表した、すなわち異なる細胞組織における細胞分裂の数と、その細胞組織内の発がんリスク間に相関関係があることを発見した、彼らの研究データを再分析し、新しい数学モデルを開発した。

本研究では、多様ながんリスクの約2/3は幹細胞境界の数により説明可能であると、結論付けられた。

Song Wu氏らがNature誌に昨年発表した論文では、著者が選択した数学モデルが、がんリスクに影響する可能性のある環境の変化に対しては本質的に非感受性であり、したがって、環境と事象を区別することが不可能であると指摘し、この解釈が課題とされた。

「しかしながら、Tomassetti氏とWu氏はともに、“発がん”を素反応として分析した」と、Bilke氏は述べた。

両者の研究は、ともに、発がん率は細胞周期数に強い相関があることを発見した。

しかしながら、内因性の細胞または“bad luck”のリスク要素を明確化するベースラインの選択方法については、別の見解であった。

それゆえ、環境面で動的ながんリスクを構成する因子について、彼らの見解は異なっていた。

「本研究では、“発がん”ではなく“がんの動的突然変異”について調査した」と、Bilke氏は述べた。「がんが動的突然変異による結果であることは明確である。そして、突然因子と同様、直接的な環境の影響は、突然変異であり、発がんではない」

環境により、またはその欠如により生じる過剰な突然変異は、上記で述べたように、変異率において確認され、発がん率は複雑な方法で示される。

「本研究では、動的突然変異の発生数が各がん種ごとに異なると考察される2つの研究から得られた同じデータによる変異率が予測された」

例えば、2個の遺伝子突然変異だけで網膜芽細胞腫は発症してしまうが、結腸直腸がんの発症においては、平均6個の突然変異を有する」と、Bilke氏は述べる。

「Tomasetti氏とVogelstein氏は、肺がん、皮膚がんおよびゲノム素因を除いた発がん率約40%未満は、環境因子により引き起こると予測した」と、Bilke氏は続けた。

Wu氏らの再解釈は、多数のがんによる、90%以上の環境貢献における予測を導いた。

「おもに異なった解釈の可能性は除いて、本研究においては、発がん率ではなく突然変異率がかなり限られた分布で生じることを発見した。われわれは、突然変異が有意に過剰であり検出可能な大腸がん、皮膚がん、肺がんを除いて、突然変異率80%以上は偶発的に生じることがわかった」

「一部のがんと関連している喫煙、紫外線(UV)、食生活などの環境因子を除いて、数学的アプローチにより、ほとんどの場合、がんの動的突然変異がランダムで偶発的な事象であることを発見した」と、Bilke氏は述べた。「過度の発がん物質がない環境下でも、突然変異は依然として生じ、防止が困難である。そのため、がんスクリーニング検診の勧告に従うことが最も重要である」

「われわれの研究結果で求めたのは、喫煙による肺がん、食生活による結腸がん、およびUV放射線による皮膚がんといった、発がんの法則に関する答えではない。喫煙者が肺がんになる場合のように、ベースラインと比較してこれらのがんにおける突然変異の増加率を識別することで、その法則を確認したのである」と、Bilke氏は述べた。 「発がん物質は危険であり、避けるべきだ」

制限事項として、研究が幾分説得力のある仮定に基づいた疫学的データを使用して、必要となる動的突然変異数を推定したと、Bilke氏は述べた。

したがって、ホルモン依存性がんのような、これらの仮定に当てはまらない発生頻度の高いがんは、この研究に含まれなかった。

http://ecancer.org/news/9084   
(2016年4月19日公開)

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