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27 May 2016
University of Colorado Cancer Centerは、選択的に付着する微小気泡ガスの使用により血液サンプル内の血中循環腫瘍細胞を浮かせることで、単離細胞の分析が可能になることを、AACR2016にて報告した。
「微小気泡は超音波造影剤として機能していた。患者にその気泡を注射すると、気泡が音を反響するのである。しかしながら、私は博士課程中、その気泡が浮くことでがん細胞の単離に使用できることに気付いた」と、CU Cancer Center の調査員でSkaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences の准教授であるDmitri Simberg氏は述べた。
基本的に、浮上する微小気泡と血中循環腫瘍細胞を認識して付着するマーカーがペアになることで機能するシステムである。
細胞には微小気泡が付着し、サンプルの表面に浮上するため、収集可能となる。
「血液1mlにがん細胞が10個あると仮定すると、われわれの技術により、そのうち8個を発見し、分離することができる」と、Simbergは述べる。
血中循環腫瘍細胞は原発腫瘍から発生する細胞で、血液の流れに乗って循環する。
多くの固形腫瘍が上皮組織から現れ、血球は現れないため、これらの希少な血中循環腫瘍細胞は、固有な細胞表面タンパク質により、周囲の血球とは区別される。Simberg氏とMoores UCSD Cancer Centerの共同研究者らは、免疫システムのツールを使用して、この現象について調査した。
特に、抗原を特定するために抗体を使用する体の免疫系(例えば、インフルエンザウイルスの抗原に特有な抗体であるT細胞)は、T細胞がウイルスを認識し、付着し、劣化させるのを助ける。
Simberg氏らは、上皮細胞マーカーといった抗原を認識するようにデザインされた抗体を使用した。
抗体すなわち強化した微小気泡が血液に乗って循環すると、その抗体は上皮抗原を探す。そして、抗体すなわち抗原系は、浮揚可能な微小気泡が血中循環腫瘍細胞に結合する。
本研究により、健康なヒト血液のサンプルならびに転移性乳がんと卵巣がんの血液サンプル内で意図的に隠されたがん細胞を収集することで、このテクニックによる結果が発表された。
予想どおりに、このテクニックより、グリア芽細胞腫と転移性黒色腫を含む非上皮由来の腫瘍サンプルからは、がん細胞は分離しなかった。Simberg氏はがん患者による臨床サンプルにて研究を継続することを望む。
「これらの血中循環腫瘍細胞は希少で脆弱である。そして、それらが無傷のまま収集されなければならない。」
「われわれは、このテクニックは素早く、安価な方法であると考える」と、Simberg氏は述べる。
分離させ収集したがん細胞から、予後の情報提供がなされ、、疾患に適切な治療を行うためのがんの遺伝的特徴が同定され、または、薬物検査のためにこれらの細胞をさらに培養することができる。
http://ecancer.org/news/9106
(2016年4月17日公開)