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MNT : 糖尿病 : Asprosinの発見が、新しいホルモンによる糖尿病治療における可能性を示唆

25 May 2016

他の症状の中で特に、体に脂肪を蓄積させないようにする、neonatal progeroid syndrome (NPS) という、まれな遺伝子疾患に苦しむ患者のための研究として始まったことが、2型糖尿病とともに生きる何百万人もの人々の命に影響を与える可能性がある。この結果はCell誌に発表された。

Baylor College of Medicine の遺伝医学者であり、本報告の上席著者であるAtul Chopra氏は、2013年にこのまれな疾患(世界中でこの疾患患者は一握りしかおらず、原因は不明である)の患者2名をまず同定した。その時、これまでは解決不可能な医学的かつ遺伝的ミステリーに対する回答をみいだすために、唯一ゲノムシークエンシング全体が使用されていた。Chopra氏の長年の関心は、エネルギー代謝疾患を理解することであった。体脂肪値が著しく低いNPS患者は、Chopra氏の想像をそそった。両方の患者はこの不思議な疾患とともに人生を全うした。そしてChopra氏、この問題に取り組むためには、テクノロジーが最終的に利用できると認知しながら、最初の面談と検査のために両者をTexas Children’s Hospitalの遺伝子クリニックに招いた。

エキソームシークエンシングを使用して、Chopra氏とチームは、NPSの原因と考えられる遺伝子変異を発見した。しかしながら、その変異が結果としてどのようにその疾患になるかはまだ不明であった。この問題を研究所にもっていき、研究者らはこれらの変異が患者が以前は分からなかったホルモンを産生することを抑制していることを解明した。この新しく発見されたホルモンはasprosinと命名され、脂肪によって産み出されるように見えた。それは、グルコースを血流に放出するよう指示する肝臓へと移動する。Asprosinのレベルが異常に低いNPS患者はこれができない、かつ血中グルコースやインスリンが低くなる。

反対に、血中グルコースやインスリンが高い肥満や糖尿病の患者は、asprosinのレベルが標準より高い。この情報を使用して、研究者らは、asprosinに対する抗体を開発しようと決意した。そして、その抗体をasprosinを中和するために用いた。そのプロセスは、免疫学的隔離(immunologic sequestration)tp呼ばれた。このように、研究者らは肝臓によって放出されたグルコースの量を減少させることを可能にし、結果的に膵臓の細胞が必要とするインスリン量が減少した。
「我々は驚嘆し始めた。この方法で糖尿病を治療できるかもしれない」とChopra氏は述べた。

このコンセプトを検査するために、研究者らはこの抗体を使って糖尿病マウスを治療し、この抗体の単回投与であっても、標準的な範囲に向かってインスリンレベルを下げるために良好に作用した。そのようなマウスがより長期間治療された場合に、インスリン抵抗性は完全に正常化した。
「この結果はわれわれにフルサークルをもたらした。我々は非常にまれな遺伝子疾患でスタートし、これらの患者から得た情報を使って、新しいホルモンを発見した。そのホルモンは、より多くの人々に影響する違う疾患を治療するために向けられる可能性がある。 もし、糖尿病の人々が糖尿病マウスと同様にasprosin抗体に同じ方法で応じたら、この発見は、結果として糖尿病の新しい治療となるだろう」とChopra氏は述べた。Chopra氏は、Caroline Weiss Law の学者であり、Baylorでは、molecular and cellular biology とmolecular and human geneticsの助教である。「そこに希少遺伝子疾患を学ぶことにおいて価値がある。時には、こんな努力が最初は元々小さい患者集団より多くの人々ににインパクトを与えることができる」

この話が始まった時のNPS患者の1人、Abigail Solomon 氏(Austin、Texas)はこれらの結果に大変興奮していた。「Chopra先生の仕事は私の病気であるNPS―生涯を通して生きてきたーの患者の治療を見つけることに道を開いただけでなく、糖尿病の治療の道を開いた。私は、誇らしく感じている。そしてこのプロセスに参加する機会をえたことは名誉である」とSolomon 氏は述べた。彼は、今AustinのTexas大学の学生である。

http://www.medicalnewstoday.com/releases/309124.php
(2015年12月8日公開)

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