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17 May 2016
SWOGとSt. Jude Children’s Research Hospitalの共同研究であるRoswell Park Cancer Institute (RPCI)による前臨床研究より、これまで確認されていなかった2つの遺伝子マーカーが、化学療法後にタモシキフェン投与を行った乳がん患者に有効であると予測された。
この研究結果はAACR2016にて報告された。
Roswell Parkの研究員でHoward University の大学院生であるVictoria Larsen氏は第一著者であり、Roswell Parkの腫瘍学准教授でDepartment of Cancer Prevention and Control に所属するSong Yao氏は「Germline genetic variants in GATA3 and breast cancer treatment outcomes in SWOG 8897 trial、abstract 2032」の上席著者である。
患者らの遺伝子構造は、どのようにがん治療が奏効するかに影響する可能性がある。
SWOG S8897は乳がんのための多施設臨床試験であり、研究者らは、重要な乳がん遺伝子であるGATA3の有無について12の潜在的マーカーを調査し、患者生存率との相関の同定を追及した。
患者らは、がん再発リスクが高い群とリスクが低い群の2群に分けられた。
高リスク群(n=441)では、化学療法による治療群と、化学療法とタモキシフェンの併用による治療群に分けられた。
低リスク群(n=799)は、化学療法を受けなかった。
その結果、GATA3内の2つの遺伝子マーカー(rs3802604およびrs568727)により、化学療法による治療効果が正確に予測されることが示された。
更なる調査によって、タモキシフェン投与後に化学療法を受けた患者では、相関性がさらに強くなることが示された。
しかしながら、化学療法を受けない患者群では、同じ2つのマーカーによる予測はなく、乳がんの化学療法のみで予測されることを示した。
「本研究は、GATA3遺伝子マーカーは、乳がん患者の適切な治療レジメンの指針となる可能性があることを示唆する。本研究を実証し、異なった治療法によるメカニズムの理解を深めるため、さらなる調査を進める」と、Yao氏は述べた。
http://ecancer.org/news/9201
(2016年4月22日公開)