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17 May 2016
脂肪過多の牛肉やチーズなど一般食品脂肪における飽和脂肪摂取が高いと、悪性前立腺がんとの相関性が高まることが、University of North Carolina Lineberger Comprehensive Cancer Centerの研究者により発見された。
この中間解析結果は、AACR2016で発表された。
「われわれは、飽和脂肪含有量の高い食物摂取が、前立腺がん悪性度の増加に繋がることを発見した」と、UNC Gillings School of Global Public Health の准教授、Emma H. Allott氏は述べた。「食物飽和脂肪摂取の制限は、健康全般や心疾患予防において重要であることが知られているが、前立腺がんにおいても重要である可能性がある」
本研究結果は、ノースカロライナとルイジアナで2004年から2009年において前立腺がんと診断された1,854名対象の調査によるもので、North Carolina-Louisiana Prostate Cancer Projectという大規模研究の一部である。
被験者らは前立腺がん診断時に、食事内容や他の因子について一連の質問を受けた。そして、飽和脂肪摂取量と腫瘍の悪性度間の相関が調査された。
研究者らは、飽和脂肪の影響を総脂肪摂取量とは切り離すために、食物の飽和脂肪を彼らの統計モデルによる総脂肪摂取量に沿って調整した。
彼らは、がんのステージとグリーソン分類に加え、前立腺特異抗原による悪性度の測定すなわちPSA検査(PSA =prostate specific antigen)を行った。
彼らは、飽和脂肪摂取量が高いと悪性の前立腺がんに結びつくことを発見した。
Allott氏は、「食物内の飽和脂肪含有量が高いと、血中コレステロール値が上がる傾向にある」と述べた。また、研究者らは、コレステロールレベルを下げる薬剤であるスタチン摂取の男性において、飽和脂肪摂取量と悪性前立腺がん発症の相関が低いことを発見した。
この研究は、悪性前立腺がんにおいて、スタチンは飽和脂肪高摂取による影響を防ぐものの、完全に回復させる作用はないことを示唆する。
さらに、魚やナッツ類などに含まれる多価不飽和脂肪摂取レベルが高いと、悪性前立腺がんとの相関が低下することがわかった。
Allott氏は、「今後の研究で、これらの相関性メカニズムも調査する」と述べた。
http://ecancer.org/news/9204
(2016年4月22日公開)