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29 Jan 2016
大規模な観察研究により、定期的にアスピリンを摂取している男性は前立腺がんによる死亡リスクが低くなる可能性があることがわかった。
前立腺がんと診断された後に、定期的にアスピリンを摂取した男性は、前立腺がんによって死亡する可能性が低かった。
しかしながら、アスピリンは前立腺がん全発生率に影響しなかった。
「致死的前立腺がんの予防に対してアスピリンを推奨するのは時期尚早であるが、すでにアスピリンの心血管への影響により恩恵を受けている前立腺がんの男性は、定期的なアスピリン摂取を考慮するもう一つの理由がある」と、Urologic Oncology Fellow at Brigham and Women’s Hospital とMassachusetts General Hospital (ボストン、マサチューセッツ)のAllard氏は述べた。
「アスピリンのメリットの可能性について医師と話をするときに、心臓血管の健康と前立腺がんによる死亡リスクに関しては、男性は定期的なアスピリン摂取のリスクの可能性についても考慮するべきである」
多くの研究が、健常男性の前立腺がんによる死亡リスクの減少や前立腺がんの男性の生存期間延長に効果のある薬物やサプルメントを研究してきた。
アスピリンと前立腺がんの予防に関する従来の研究は、矛盾した結果を報告していた。
著者らによれば、これは、進行疾患の予防におけるアスピリンの役割を明らかにしつつ、致死的がんの予防に特別にフォーカスした最初の研究である。
研究者らは、Physicians’ Health Studyに登録した22071名の男性のデータを解析した。
27年間の追跡期間中、3193名の男性が前立腺がんと診断された。
そのうち、致死的前立腺がんを発症した403名は、転移性疾患または前立腺がんだと考えられた。
年齢、人種、BMI、喫煙における違いを調整後、週3錠以上のアスピリンを定期的に摂取し、前立腺がんと診断されていない男性は致死的前立腺がんを発症するリスクは24%低かった。
しかしながら、アスピリンは全体の前立腺がん、悪性度の高い前立腺がん、または限局性進行前立腺がんと診断される可能性に影響しなかった。
前立腺がんの男性では、診断後の定期的なアスピリン摂取が、前立腺がんによる死亡リスクが39%低くなることには関連がなかった。
対照的に、診断前のアスピリン摂取は重要なメリットがなかった。
「我々は、アスピリンが前立腺がんの進行において転移することを防ぐと考える」と、Allard氏は述べた。
この防護効果のための生物学的基礎はあまり知られていない一方で、前臨床試験はアスピリンががんの骨への拡散を防いでいる可能性があることを示唆している。
Allardらは、アスピリンが前立腺がんによる死亡リスクを下げる方法を調査し続けるだろう。
同時に、定期的にアスピリンを摂取してメリットがあるのは特にどのような男性か、そしてアスピリンの至適用量はどのくらいかなどを決定するためにさらなる研究が必要とされる。
Physicians’ Health Studyは、心疾患と癌の第一次予防における、アスピリンとベータカロチンのベネフィットとリスクのテストを1982年に開始した。
30年そして400以上の論文化された研究報告後も、その研究は続いている。
1995年に終了したオリジナルの無作為化試験後、研究者らは年に一回質問票を通して研究の参加者を追跡し続けていた。
http://ecancer.org/news/8463
(2016年1月4日公開)