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29 Jan 2016
進行性腎がん治療歴のある患者の第III相臨床試験の解析結果によれば、現在のエベロリムス使用の標準治療よりcabozantinibのほうが、あらゆるリスクレベルの患者がさらに恩恵を得られるとういうことが示された。
Cabozantinibのより素晴らしい効果は、転移の場所、過去の治療の数、実施された治療タイプには関係がなかった。
「現在の治療は、進行性腎がん患者に何らかのメリットがある。しかし、もっと効果的な治療を必要としている」と、Institut Gustave Roussy(フランス)のGenitourinary Oncology Committeeの委員長で、筆頭著者であるBernard Escudier氏は述べた。
「われわれの中間解析結果は、cabozantinibは治療抵抗性を克服するのに役立ち、この侵襲性の強いがんの患者に対する新しい希望をもたらす可能性がある」
腎細胞がん(RCC)は、腎がんの最も一般的なタイプであり、その発生率は世界中で増加している。
標準治療は、VEGFR (vascular endothelial growth factor receptor) 阻害剤 とエベロリムスのようなmTOR (mammalian target of rapamycin)阻害剤の2種類の標的薬を含んでいる。
Cabozantinibは、腫瘍の血管増殖と主要増殖を推進し・拡散する主要信号経路を阻害する。
本試験では、過去にVEGFR阻害薬治療を受けた進行性RCC患者658名が、cabozantinibまたはエベロリムスに無作為に割りつけられた。
最初の375名の患者の早い段階での結果は、cabozantinibがエベロリムスに比べて無増悪生存率中央値を改善した(7.4カ月対3.8 カ月)。
658名の患者全体による新解析結果は、cabozantinib群の75%が、エベロリムス群の48%に比べて腫瘍が縮小した。
さらに、全生存率の早期評価は、エベロリムスに比べて、cabozantinib治療を受けた患者の生存率が改善する傾向が示された。
研究者らは、cabozantinib 対エベロリムスに関連した無増悪生存率の改善は患者のサブグループ全体で一貫していることを発見した。
サブグループは、良好、中程度、高いのリスク分類、全身腫瘍組織量、以前の治療(タイプ、数、期間)により定義された。
さらに、研究者らは、肝転移または内臓と骨転移の併発のあった患者もcabozantinib治療によりさらなるメリットがあることを検出した。
Cabozantinibに関連した最も一般的な副作用は、下痢、倦怠感、嘔吐、食欲減退、手足症候群(痛み、腫れ、無感覚、うずき、手や足の発赤などを特徴とする)であった。
エベロリムスに関連した一般的な副作用は、倦怠感、貧血、食欲減退、咳、息切れや呼吸困難であった。
治療による副作用は、支持療法と用量変更によりうまくコントロールできた。
Cabozantinibは、最近FDAにより甲状腺がんの特定の形態の患者の治療のために承認された。
Cabozantinibは、広い範囲のがん種のための臨床試験で研究されている。
http://ecancer.org/news/8466
(2016年1月4日公開)