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27 Dec 2015
閉経後非浸潤性乳管がん(DCIS=ductal carcinoma in situ)患者において、手術後5年間のタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤アナストロゾールを投与したかどうかでは、疾患再発の転帰に差がないが、各群において別の副作用が表れたという第Ⅲ相IBIS-II DCIS臨床試験における結果が、SABCS2015で発表された。
この研究結果は、同時にランセットでも公開された。「ATAC(ARIMIDEX, Tamoxifen,Alone or in Combination)から続いたIBIS-II DCIS研究と、アロマターゼ阻害薬であることを示した他のアロマターゼ阻害薬の臨床試験は、閉経後のホルモン受容体陽性浸潤乳がん再発の防止において、タモキシフェンより有効である」と、Queen Mary University of London、Wolfson Institute of Preventive Medicine所長で教授のJack Cuzick氏が述べた。
「DCISのアロマターゼ阻害剤の効能に関するデータが不足していたことから、データを調査するのは、自然な流れであった」
「この試験では、アナストロゾール群とタモキシフェン群の両群において、アナストロゾール群に若干の良好な転帰がもたらされたものの、全体的に有効性の差がほどんどなかった」
「副作用プロフィールは、2つの薬剤で非常に異なる。しかしながら、患者らは一定のコンプライアンスに従い、副作用とのバランスを保っていた」と、Cuzickは続けた。
「アナストロゾールは、エストロゲン受容体陽性DCIS患者を治療する選択肢の一つとなる。有効性よりも、忍容性と副作用に関連する症状が、選択に関連するようだ」と、述べた。
この多施設、無作為化、プラセボ対照試験は、閉経後の局所的に切除されたホルモン受容体陽性DCIS患者2,980名が対象であった。1,471名には1日1mgのアナストロゾールが投与され、1,509名には1日20 mgのタモキシフェンが投与された。
また、全患者に、副作用プロフィールの評価の信頼性を絶対的にするため、未処方の検査薬に似たプラセボが投与されたと、Cuzick氏は説明した。
主要エンドポイントは、乳がんの再発リスク評価であった。
追跡期間中央値7.2年後、144名は乳がんを発症し、69名が死亡、内、乳がんによる死亡は4名であった。
アナストロゾール群は、タモキシフェン群よりもDCISまたは浸潤性がんの再発率が11%低かったが、有意差はなかった。
浸潤性がんの再発を除き、サブグループ間で有意差はなかった。タモキシフェン群は、HER2陽性浸潤がんの再発の可能性が低かったのに対し、アナストロゾール群は、HER2陰性浸潤がんの再発の可能性が低かった。
副作用について、アナストロゾール群は子宮内膜、卵巣がんおよび皮膚がんの発症が、タモキシフェン群よりも少なかった。
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しかしながら、脳卒中はアナストロゾール群にてより多くみられた。
死亡率の差を評価する十分なデータはなかった。
タモキシフェン群は、アナストロゾール群と比較し、より深刻な血栓塞栓症と、ほてり、膣出血、および分泌物などの婦人科の問題を抱えていた。
一方、アナストロゾール群は、骨折、筋骨格系の問題、および膣乾燥の問題を抱えていた。
「われわれは、この試験で患者の追跡を継続している」
「ベースライン時におけるがんの分子的特徴の分析と治療の開発が進行中である」
http://ecancer.org/news/8306
(2015年12月11日公開)