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ecancer : 全般 : NCRI2015 : がんを標的とする熱活性化「手榴弾」

03 Dec 2015

2つの研究より、腫瘍を直接標的とする治療を可能にする、がん治療薬が詰め込まれた熱活性トリガーの「手榴弾」が開発されたことが、National Cancer Research Institute (NCRI) Cancer Conferenceにて発表された。

University of Manchesterのチームが、細胞膜から造られる小さな気泡のような構造のリポソームを開発した。これは、細胞に分子を届ける、すなわち薬をがん細胞に運び込むためのパッケージとして使われる。

課題は、他の治療と同じように、健康な組織に危害を加えずにリポソームと薬を腫瘍へ誘導することである。

2つの新しい研究では、熱活性トリガーであるリポソームを適合させることで、この問題解決に一歩近づいたことが示された。

研究室にて、そしてマウスモデルで腫瘍をわずかに温めると、研究者らは、薬物注入時を制御でき、がんを殺す「手榴弾」から薬を解放し、がんを標的とすることができる。

研究著者でUniversity of Manchesterナノ薬剤の教授であるKostas Kostarelos氏は、「温度感受性リポソームにより、対象となるがんの第一選択薬は、体内のあらゆる場所に安全に運ばれる可能性がある。温められたがん細胞の『ホットスポット』に辿り着くと薬は解放される。これにより、健康な細胞への危害を最小限にして、より効果的に腫瘍へ薬物を運ぶことができる」と述べた。

「熱トリガーは通常の体温よりもわずか数度暖かい42℃に設定されている。この研究は現時点でまだ動物実験段階であるが、腫瘍の種類に応じて患者のがん細胞を潜在的に加熱する、多くの方法がある。そして一部はすでに臨床の場で使用されている。

2015 NCRI Cancer Conference の議長であるCharlie Swanton氏は、「リポソームは細胞膜からなる小さな気泡で、細胞郵便のように分子をわれわれの細胞に届ける。がん治療薬を運ぶためにリポソームを使用することは、ナノ薬剤の聖杯である。しかしながら、リポソームを正確に腫瘍へ誘導する方法は、標的薬物送達における主な課題である」

「リポソームが温度調節を含めてどのように形成されるかを示し、新しい治療方法の幅を広げた、初めての研究である。これは、まだ研究の初期段階であるが、リポソームは、健康な細胞を傷つけない、がん細胞の標的治療の有効な方法となりえる」

http://ecancer.org/news/8064 
(2015年10月31日公開)

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