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03 Dec 2015
女性がより多くの子どもを出産する、または卵管切除を行うと、卵巣がんのリスクがそれぞれ減少するという新たな研究が、2015 National Cancer Research Institute (NCRI) Cancer Conference で発表された。
UK Million Women Studyの一環として、卵巣がんを有する女性8,000名以上を対象に、データの収集が行われた。
研究者らは、最も一般的な卵巣がん4種 『漿液腫瘍、粘液性腫瘍、類内膜腫瘍、透明細胞腫瘍』のリスクについて、異なる出産パターンの女性において検討した
卵巣がん全般において、出産数1名の女性は、出産したことのない女性よりも約20%のリスク低下が示され、類内膜腫瘍、透明細胞腫瘍においては約40%のリスク低下が示された。
さらに、出産により、卵巣がん全体のリスクの約8%の減少が示された。
研究者はまた、卵管切除またはクリッピングの女性と、切除やクリッピングを行っていない女性とのリスクを比較した。
卵管結紮術または滅菌法として知られているこの手順は、永続避妊の外科手術である。
この手術を受けた女性は、卵巣がん全体リスクの20%の減少が示された。
リスクは、最も一般的な卵巣がんの種類である高悪性度の漿液腫瘍では約20%低く、そして、類内膜腫瘍と透明細胞腫瘍では約半分ほどになる。
Cancer Research UKが資金提供した研究主任で、University of Oxford、Cancer Epidemiology Unitの病理学者であるKezia Gaitskell氏は、「過去数年間において、多くの症例により卵巣から実際に起こる可能性のないことが示されたことで、われわれの卵巣がんに対する理解は根本から覆された。たとえば、最も一般的な種類である高悪性度の漿液腫瘍は卵管から発症し、一部の類内膜腫瘍と透明細胞腫瘍は子宮内膜症から発達するようである」と述べた。
われわれは、出産数1名の女性が出産したことのない女性よりも有意にリスク減少することが、子宮内膜症といったいくつかの症状と共に、不妊症と関係していると考える。子宮内膜症は、妊娠を困難にし、そして特殊な卵巣がんのリスクを増加させる可能性もある。
「卵管結紮を有する女性において見られるリスクを低下させるために、卵管結紮術は、これらの腫瘍が卵管を通過して卵巣に入ることで生じる細胞異常を予防する障壁として作用する可能性がある。出産と受胎能力といった卵巣がんの既知の危険因子との関連が、異なる腫瘍型によって変化することを示したことから、本研究結果は大変興味深い」
2015 NCRI Cancer Conference の議長であるCharlie Swanton氏は、「われわれは、女性の出産数、そして避妊が、卵巣がんのリスクに影響する可能性があることをすでに周知していたが、この研究では、疾患の異なる種類に関する重要な詳細が示された」と述べた。
「他のがんと同じく、卵巣がんは、1つの疾患ではなく、発症する場所により異なる疾患にグループ化される。何が、異なる卵巣がんのリスクに影響を及ぼずのか、そして、どの因子が、このリスクに影響を与えるのかを知ることが重要である。われわれは、出産数にかかわらず、多くの女性に対して卵巣がんリスクを低減するよう、この所見のメカニズムを理解する必要がある」
http://ecancer.org/news/8076
(2015年11月4日公開)