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30 Oct 2015
米国では、いつもではないが、時には、心臓発作の兆候を示す胸痛で、年700万人以上が救急診療部を訪れる。現在、新しい血液検査により、心臓発作は起こりにくいということが早くかつ正確に確認できることで、待つことと困惑のストレスを軽減できる。
高感度トロポニン心臓検査は、心臓発作の間に心臓から放出されるタンパク質トロポニンのレベルの低さを測定することができる血液検査である。Lancet誌に発表された新研究によれば、この検査によって、多くの人々が早く、かつ安全に心臓発作かどうかの診断を受けることができる。
日常診療で、この検査を使用すれば、救急診療部で多くの時間を費やすことから患者たちを救うことが可能であろうと、英国University of Edinburghの研究チームの著者らは述べた。
国際ガイドラインでは、胸痛を呈する人たちは心臓発作が起こっているかを確認するために、非常に高い量のトロポニン(99パーセンタイル以上)の検査のために入院しなくてはならない。
この検査のために、患者らは入院するか、再検査のために救急診療部で長時間待たなければならない。
科学者らは、新しい検査により、従来想定されていた以上に、血液中のかなり低いレベルのトロポニンを看破できることを発見した。
心臓発作でないと診断された人たちは1年間無事であった
British Heart Foundation (BHF)が資金提供した本研究は、4つのスコットランドの病院の救急診療部に胸痛で診療を受けにきた6,000人以上のトロポニンのレベルの検査を含んでいる。
30日後に、心臓発作のリスクがない、または心臓の状態によって死亡した患者の可能性は、トロポニン濃度の範囲を参照して評価された。
5 ng/L以下のトロポニン閾値は、事前の病状と状態に関わらず、陰性適中率99.6%では、心臓発作のリスクがかなり低い患者の61%に確認された。1年後には、同じ患者が心臓発作および心臓死になるリスクは、トロポニン値が5 ng/L以上だった患者に比べて、さらに3倍も低かった。
心臓発作の検査が陰性だった人たちは、安全、かつ速やかに退院した可能性がある。
筆頭著者である、英国のUniversity of EdinburghのAroop Shah氏は、今までは、救急診療部内での心臓発作を除外する早い方法がなかったとコメントしている。
「我々は、入院中または30日間の拘束の間に、心臓発作のリスクがかなり低い患者の心臓トロポニン濃度を割り出した」と、Aroop Shah氏は述べている。
今年初めに、British Heart Foundationは、同様の検査により、女性では心臓発作であるかどうかの診断率が2倍になったことを示した。彼らによれば、陽性検査に異なる基準を使用したことで診断率が改善し、標準的検査の診断率10人に1人に比べて、女性では診断率が5人に1人となった。
心臓疾患の現実
・米国では、年間約61万人が心臓疾患により死亡
・米国では、4人に1人が心臓疾患により死亡
・毎年約735,000人が心臓発作を発症
British Heart Foundation の副メディカルダイレクターであるJeremy Pearson教授は、迅速でさらに正確な診断は、患者と公共医療サービスの両方にプラスになるだろうと述べている。
心臓発作の診断を見逃さないことが重要である一方で、人々が不必要な検査を受けながら、病院で時間を費やさないことも重要であるとPearson教授は指摘している。
この研究結果は、国内および国際的な心臓発作を早期に除外するためのガイドラインに知らせると期待されている。
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Medical News Todayは、「砂糖入り飲料が心臓発作のリスクを上げる」というリポートを先日報じた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/300704.php
(2015年10月8日公開)