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MNT : 糖尿病 : インスリン産生細胞が1型糖尿病患者の希望となる

29 Oct 2015

米国では、125万人が1型糖尿病に罹患している。現在、科学者らは、インスリン分泌能力を持つ細胞を産生するための新技術を開発しており、その技術は、最終的には、1型糖尿病患者を助けるための移植過程において使用される可能性がある。

今週、スペイン、バルセロナで開催された第54回 Annual European Society for Pediatric Endocrinology Meetingで発表されたこの研究は、Université Catholique de Louvain (Louvain-la-Neuve, ベルギー)のPhilippe Lysy 氏がリーダーを務めた。

1型糖尿病は、ベータ細胞として知られる、インスリンを産生する膵臓の細胞が誤って免疫システムによって破壊されるときに、発症する不可避な状態である。結果として、体が血液中のグルコース値を制御するホルモンであるインスリンを作り、放出することができなくなる。
1型糖尿病は、若年者、特に10代半ばに発症する傾向があり、若年性糖尿病として知られている。しかしながら、どの年代でも発症する。1型糖尿病は、米国で糖尿病と診断された症例すべての約5%を占めている。

1型糖尿病を予防する方法はない。そして、治療しない場合は、死に至ることもある。治療は、注射または、時にはポンプや経口薬によって人工的にインスリンを注入する。

しかしながら、近年、科学者らは、1型糖尿病の人々のために生活の質を改善するためにベータ細胞を置き換える方法を研究している。

インスリンを分泌するために再プログラム化された細胞

Lysy氏らの研究チームは、すでにhuman pancreatic duct-derived cells (HDDCs)細胞が有益なソースとなり得ることを示した。

HDDCsは、成人の膵臓の中で見出され、前駆細胞である。前駆細胞とは、それらの細胞が特別な型の細胞へ分化する傾向を持っているという意味である。

この研究では、研究チームは、HDDCsをベータ細胞のように働き、グルコースに対応して膵臓内にインスリンを分泌するように再プログラム化した。

研究者らは、MAFAと呼ばれる転写因子のmessenger RNA (mRNA)を使用した。MAFAは、どの遺伝子がゲノム内でオンオフされるかをコントロールするタンパク質である。mRNAは、細胞DNAに結合する前にタンパク質に転換される。これによって、変化が細胞機能において起きることを可能にする。

この技術を使って、研究者らは、標的細胞のいかなる遺伝的組み換え、がんのようなリスクを引き起こす可能性を防いだ。

マウスモデルにおいて、糖尿病マウス内に製造した細胞を移植することができた。そして、その疾患を追究している。彼らは、その細胞が機能するか、そして、血中グルコース値にしたがって体内にインスリンを分泌するかどうかを分析している。Lysy氏は、結果がわかるには、まだ時期尚早であるとMNTに語った。

Lysy氏は、この研究がユニークなのは、成人の組織を使用していること、つまり、がんのような幹細胞に関連したリスクが避けられるということである。また、構造的にDNAに修正を加えず、DNA上で直接細胞を修正するプロトコールを使用していることも新しいと説明している。           

将来性のある技術

研究者らは、最終的には糖尿病患者に移植する多くの細胞が産生される可能性があると期待する。今のところ、研究者らは、再プログラム化された細胞が、医薬品安全性試験実施基準と臨床的に適合した手順に従って作られることを許容する状況を検討し続けている。

また、研究者らは、mRNAを使用しながら、転写因子を使った細胞の再プログラム化のための、このシステムが、機能喪失が起きた他の疾患を再検討する中で新機能を持つ細胞の産生へ導く可能性のある他の科学的な領域に応用できることを期待している。

Lysy氏は、MNTに将来的な応用について、以下のように述べた。
「われわれの研究は、細胞置換療法が必要とされる、医学の他の領域でも(心疾患、皮膚疾患、肝疾患など)分化ストラテジーをつくる助けとなる可能性があるだけでなく、代謝性疾患における好ましくない代謝産物の病的発現を倒すために使われる可能性もある」

先日、MNTでは、1型糖尿病患者のための人口膵臓移植の可能性について報じた。

http://www.medicalnewstoday.com/articles/300285.php  
(2015年10月1日公開)

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