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ecancer : 脳腫瘍 : ESMO 2015 : 転移性脳腫瘍遺伝子のスクリーニングは、治療の新たな標的を明らかにする

02 Oct 2015

脳に拡散したがんの遺伝子配列(シークエンシング)を解明すると、治療の標的を予想外に有効に示せることが、European Cancer Congress(ECC)2015にて、そしてCancer Discovery誌にて発表された。

研究者らは、遺伝子レベルにおいて、原発がんと患者の脳まで拡散したがんとの重要な相異を発見したと、ECC 2015で発表した。

この知見は、新たな治療方針を示唆する可能性がある。

Massachusetts General HospitalのBrain Metastasis Program主任で神経腫瘍医のPriscilla Brastianos氏は、「脳転移は深刻ながんの合併症である。患者の約8~10%は脳転移を発症し、治療の選択肢は限られる。治療が成功して、体内の他の部分でがんが抑制された場合でも、多くの場合、転移性脳腫瘍は急速に拡散する」と述べた。

Brastianos氏と共同研究者らは、がんを有する成人104例の組織サンプルを調査した。

米国、ケンブリッジのBroad Institute、Scott Carter氏とGad Getz氏との共同研究では、成人104例による原発腫瘍、転移性脳腫瘍そして正常組織を生検することで遺伝的特徴を分析した。

20例については、体内の他の部位へ転移できる状態であった。

脳転移は、原発腫瘍が発症した後、明らかになる。

この研究が実施される前は、転移性脳腫瘍の遺伝的プロファイルと原発性の遺伝的プロファイルとが異なることは、知られていなかった。

研究者らは、すべての患者において、転移性脳腫瘍と原発腫瘍は遺伝子の一部を共有することと共に、重要な相違を発見した。

56%の患者において、薬剤にて潜在的に標的とされるべき遺伝子変異は、原発腫瘍内ではなく、転移性脳腫瘍内で発見された。

「われわれは、本研究の半数以上の患者において、治療法の決定に影響を与える可能性のある転移性脳腫瘍内に、遺伝子変異を発見した」と、Brastianos氏は述べた。

「われわれは、原発腫瘍の生検において、これらの遺伝的変異を検出することはできなかった。これは、われわれが、原発腫瘍の分析に依存していたことから、薬剤による標的化で有効な治療ができたであろう転移性脳腫瘍内の突然変異を見逃していたのだろうと考えられる」

この研究では、転移性脳腫瘍が多発性である場合、遺伝的な類似があることもわかった。

今日までは、原発腫瘍から拡散したがんが、どのように遺伝的に変化し、また進化したかについての科学者らの理解は限られていた。

研究者は、患者のがんの進化をマッピング し、各患者のがんがどのように拡散したか、そして、各転移がどこから来たかを示す、いわゆる系統樹を作成した。

彼らは、転移性脳腫瘍と原発腫瘍が共通の遺伝的な型を共有するという結論に達した。

がん細胞またはクローンが原発部位から脳へ転移すると、細胞は進化し、遺伝子変異を行う。

個々の患者における転移性脳腫瘍の遺伝的類似化は、単一クローンが脳に侵入することで発症することが示唆される。

転移性脳腫瘍の遺伝的変化は、原発腫瘍において、そして身体の他の転移部位において、同時に独立して起こると、研究者は述べる。

患者の原発性がんの遺伝的な特性化は、治療法の決定を最適化するためのものである。そのため、
がんの特異的変異を標的とした薬剤が選ばれる。

しかし、脳転移は、通常、生検や分析が不可能である。

Brastianos氏は、「転移性脳腫瘍の組織を臨床治療の一部として利用する場合、われわれは、そのサンプルの配列(シークエンシング)と分析を示すことになる。それにより、患者へ提供できる治療の可能性が広がる。単一転移性脳腫瘍の遺伝的な特性化は、原発腫瘍、または標的治療の選択肢であるリンパ節生検よりも、治療効果が勝る可能性がある」と述べる。

「脳転移を治療するための新たなアプローチは緊急に必要である」

「現在の脳転移治療は不足していることが示されている。脳転移と診断された患者の半分以上は、数カ月以内に死亡するだろう」

Brastianos氏は、より多くの研究が必要であると述べる。

「この知見の臨床的意義は、プロスペクティブ臨床試験でさらに検討する必要がある。さらに、われわれは、脳内の遺伝子変異の標的化が臨床転帰の改善につながるかどうかを探究する必要がある」

ECCO科学議長のNaredi氏(本研究には関与なし)は、次のように述べる。「私の見解では、Brastianos氏らは、precision medicineをエレガントに示した。遺伝子のプロファイリング が転移のプロセスを理解するのにどのように役立つか、かつ、それをどのように新たな治療法に結び付けるかである。脳転移では、他の特定の遺伝子変異が行われるため、原発腫瘍の特性に依存するだけでは十分な結果は得られない。この知見により、多くの患者へ、より良好な治療選択肢を与えることができる」

http://ecancer.org/news/7795
(2015年9月26日公開)

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