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11 Sep 2015
体をインスリンに対してさらに敏感にしようとする代わりに、肝臓のグルコース産生を遅くすることによって2型糖尿病を治療することは可能なのか。
Cell Metabolism 誌に発表された、Washington University School of Medicine(セント
ルイス、米国)による新しい試験によれば、マウスの実験で、グルコース産生をコントロールする肝タンパク質を遮断することにより、血糖値が下がることがわかった。
本研究結果は、2型糖尿病にとってより効果的な治療となる可能性があると、研究リーダーで内科学準教授であるBrian N. Finck氏は述べた。
本研究における治験薬MSDC-0602は、そのような効果がある可能性がある。
製造メーカーMetabolic Solutions Development Company of Kalamazoo(ミルウォーキー、米国)によれば、インスリン増感剤と呼ぶ本薬剤MSDC-0602を、2型糖尿病の治療薬として現在試験を行っている。
ピルビン酸塩輸送を遮断して、マウスの肝臓におけるグルコース産生を止める
ピルビン酸塩、つまりグルコースの根幹、を血流から肝臓細胞のミトコンドリアへと輸送するメカニズムを妨げることは、肝臓におけるグルコースを低減する可能性がある。ミトコンドリアは、細胞が必要とするエネルギーを産生する細胞内の小部屋である。
Finck教授と研究者らは、この結果をさらに進め、マウスの肝臓内のmitochondrial pyruvate carrier 2 (MPC2)と呼ばれるタンパク質を阻害することで、ピルビン酸塩輸送を遮断し、グルコース産生を止めたことを示した。
本研究は、MPC2が肝臓内のグルコース産生における重要な役割を初めて示した。
研究チームは、ピルビン酸塩輸送を妨害することが、肥満の人たちに一般的にみられる状態である非アルコール性脂肪肝疾患治療に寄与する可能性があると考えている。
ほとんどの人たちにとって、非アルコール性脂肪肝疾患は何の兆候も症状も合併症も起こさない。しかし、人によっては、肝臓の炎症や瘢痕を引き起こすことがあり、重症な場合には肝不全になることもある。
MSDC-0602もまた、非アルコール性脂肪肝疾患治療のために開発されている。
CDCによれば、米国では、糖尿病は驚くべき速度で増えている。2014年のCDCの報告では、糖尿病に罹患しているアメリカ人は2,900万人で、成人の12%を占めている。その多くが、2型糖尿病である。
Finck教授は、以下のように結論づけた。
「グルコース産生を遮断する薬剤は、糖尿病の最も一般的な形態に罹患した数百万人の人々を助ける可能性がある」
同時に、 Medical News Todayは、Diabetes Care誌に最近掲載された研究での薬剤 delayed release version of metforminが、現在の処方を使用できない2型糖尿病患者の40%に適合する可能性があることもレポートした。
その研究では、メトホルミンのグルコース低下効果が、従来考えられていたような血流内ではなく、腸内で起こることが示された。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/299062.php
(2015年9月4日公開)