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23 Jul 2015
血中のカリウム値が高いのは致命的である。糖尿病と腎疾患のある患者は、高カリウム血症として知られる、この状態によるリスクの最も高いほうに入る。
しかしながら、新薬は、本研究でこれらの患者のカリウム値を有意に下げた。
新薬patiromerは、Relypsaの資金援助のもと、無作為化非盲検第2相試験が行われ、その結果はJAMAに発表された。
高カリウム血症のリスクが最も高い人々は、糖尿病、心不全、または両方を持つ慢性腎疾患のある患者である。そして、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン(RAAS)阻害薬と呼ばれる薬剤の一種を服用している。RAAS阻害薬は、通常糖尿病患者における腎疾患の進行を遅らせるために服用する。
現在のところ、高カリウム血症の管理に関しては、使用可能な選択肢が少ししかなく、医師たちは、患者にRAAS阻害薬の使用をやめさせたり、、推奨用量以下の用量を処方するだろう。
Patiromerはこれを変える可能性がある。Patiromerは、便中に排出されるカリウムの量を増加させ、そのために血中のカリウムを下げる、非吸収性ポリマーを含有する経口薬である。
以前の研究では、心不全と慢性腎疾患のある患者のような他のリスクがある人々において、数日間から12週間までの期間で、その薬剤の効果を証明した。
新しい試験では、University of Chicago MedicineのGeorge L. Bakris氏らは、全部で306名の患者に無作為に、その薬剤を8週間1日2回投与した。その患者らは、全員2型糖尿病、高カリウム血症があり、その試験前と試験中にRAAS阻害薬を服用していた。
4週間その薬剤を服用後、患者らは52週間まで有害事象を観察された。
患者らは、patiromerを3つの異なる開始用量の内一つを服用した。それぞれの用量グループは、毎日8.4g服用の患者グループから33.6g服用のグループまであったが、研究者らは、patiromerにより、カリウムが有意に下がったことを検出した。
実行可能で効果的なアプローチ
カリウム値は4週間の治療で有意に減少し、カリウムの通常値は研究期間開始から52週間まで維持された。
研究者らは、参加者の20%が本薬剤に関連したと考えられる有害事象を報告した。最も一般的な事象は、患者の7%が血中マグネシウム値が異常に低く、患者の6%が軽度から中等度の便秘となり、患者の6%が血中カリウム値が異常に低かったと述べた。
「慢性腎疾患の悪化は、本研究中に最も頻繁に報告され、かつ中断となる最も一般的な有害事象であった」と著者らは記述した。
「しかしながら、これらの有害事象の多くが長期間の維持段階期間に起き、潜在する慢性腎疾患の進行が誘因となった可能性があることを示唆した。
研究の限界は、観察者バイアスにつながった可能性のある盲検の欠落である。しかし、著者らはプラセボを使用することは、参加者の一部に高カリウム血症という生命に関わる可能性のあるリスクにさらすことになろうと反論した。
Wolfgang C. Winkelmayer氏(Baylor College of Medicine、ヒューストン)は、本試験結果は、patiromerが高カリウム血症の管理について実施可能で効果的なアプローチであることを示した。
RAAS 阻害薬を服用している患者が高カリウム血症を発症するのは、治療に関わらず避けられない結果であるどうかという疑問は、現在のところ解明されていない。
Winkelmayer氏は、もしpatiromerが広く使用されるならば、その答えを見出すことに利用できるかもしれない。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/296694.php
(2015年7月15日公開)