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17 Jul 2015
インスリン抵抗性のある人々の中には、非常に重症の心疾患を発症することがある。その原因は不明確である。しかし、研究者たちは、インスリン抵抗性のある人々における重症心疾患にのための2つの有望なバイオマーカーを発見した。
PLOS ONEにおいて、Chapel Hill School of MedicineのNorth Carolina大学の研究者は、酸化LDLコレステロールの高レベルを見せるためにどのようにブタを使ったか、そして、糖化タンパク質(フルクトサミンまたはヘモグロビンA1c)が、特に女性では、重症心疾患の発症のマーカーとなり得ると述べている。
筆頭著者で、医学と病理学の教授であるTimothy Nicholsは、下記のように述べた。
「これらの相関関係がインスリン抵抗性のある人々に見られるのであれば、彼らを治療するためにできることすべてをしたい。なぜなら、彼らは重症心血管疾患を発症するリスクが高いからである」
インスリン抵抗性のある数百万人のアメリカ人がいる。彼らは、2型糖尿病のリスクだけでなく、心疾患のリスクも上がる。そこでは、冠状動脈が脂肪蓄積物(アテローム性動脈硬化と呼ばれる状態)とともに詰まる。
インスリン抵抗性のある人々の中には、心疾患を発症しない人もいる。一方で軽い閉塞を経験する人もいる。しかしながら、心臓動脈の多数の閉塞と劣化とともに、重症のアテローム性動脈硬化の発症へ移行する人もいる。
研究者らは、インスリン抵抗性動物モデルを開発した
インスリン抵抗性と心疾患の関係を調べるために、研究チームは、その種で初めての動物モデルを開発した。
最初の目的は、バイオマーカーを示すことではなく、人間の心疾患を模倣したインスリン抵抗性動物モデルをつくることであった。彼らは、人間に似た代謝を持ち、その心臓がやはり人間に似ていることから、ブタを選択した。
インスリン抵抗性を誘発するために、彼らは、ブタに1年間にわたって高脂肪、高塩分の食事をさせた。すべてのブタが冠状動脈と大動脈のアテローム性動脈硬化を発症した。しかし、半数のみが最も重症な状態となった。
しかし、高インスリン抵抗性と心疾患の最も重症な状態との相互関係を期待していたが、研究者らは何も見つけられなかった。
医学、生化学と生物物理学教授であり、上級著者であるDavid Clemmons氏が、初期の研究で、どのようにアテローム性動脈硬化と血液中で糖と結合した糖化タンパクの間の関係を検出したかを思い出すまでは、この意外な結果は、研究チームを当惑させた。
そして案の定、彼らがフルクトサミンと酸化LDLコレステロール–糖化タンパクとしての役割-のブタのレベルをテストしたところ、彼らはそれらが重症心疾患のすべてのブタにおいて上昇するのを発見した。
インスリン抵抗性の女性は、さらに影響を受けやすい
結果には、性別による影響があった。重症心疾患を発症したブタ20頭中14頭がメスで、重症心疾患を発症しなかった17頭中14頭がオスであった。
再度、これが研究チームを驚かせたと、似たような何かのためにその文献を精査していたClemmons教授は述べた。彼は、2005年に発表された研究を発見した。その研究は、フィンランドで行われ、高糖化タンパク値が進行性心疾患と強く関係があり、男性ではなく、女性における死亡率を増加させたことを示していた。
Clemmons教授は、根本的なメカニズムは以前不明だと述べ、以下のように続けた。
「しかし、現時点でわれわれは、人間にみられることを非常によく模倣しているユニークな動物モデルを得た。われわれのモデルは、女性における食事によって引き起こしたアテローム性動脈硬化のよき預言者である」
研究チームは、メスブタが糖化タンパク値が高くなると、重症心疾患になりやすくなるのはなぜかということをさらに緊密に調べることができたと、Clemmons教授は述べた。
彼らが考えていることは、糖化タンパクと重症冠動脈疾患に含まれる細胞経路における異常な生化学に対して心臓組織を調べることである。
研究チームは、彼らの知見により、研究者らがインスリン抵抗性のある人々が最悪の心疾患にならないように、さらに詳細な調査を進め、薬を開発するために役立つだろうと述べた。
本研究は、National Institutes of HealthとNorth Carolina Biotechnology Centerより資金援助を得た。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/296366.php
(2015年7月7日公開)