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24 Jun 2015
連邦政府から資金供給を受けているChildhood Cancer Survivor Study による34,000名以上の被験者を対象とした30年に及ぶ分析より、遅発性死亡率の改善が示された。
5年生存患者のうち、診断15年目において全死因による死亡率が12.4%から6%に減少した。
この改善は、事後の悪性腫瘍および心臓や肺疾患などの小児がん治療の晩期障害に関連する死亡リスクを減少させた治療の変化によるものである。
「50年前、小児がんを克服できるのは5人に1人のみであったが、今日、診断後の5年生存率は80%以上である。しかしながら、これらの患者は心臓病や二次がんといった晩期障害による死亡リスクを抱えながら成長する」と、筆頭著者であるSt. Jude Children’s Research Hospital小児腫瘍医のGregory T. Armstrong氏が述べた。
「今日まで、われわれは小児がんの原発を克服することができなかったが、現代の治療における全体的な毒性を減少させることで全生存期間を延長させることができた」
先行研究では、小児がん5年生存患者の死亡率は18%以下であると、30年間の診断で示された。
死因は、進行性または原発性がん、外部要因(事故、自殺)、および他の健康関連による原因の3つである。
最後のカテゴリは、主にがん治療の晩期障害よる死亡原因である。
がん進行または再発による死亡率が時間と共に安定水準に達するにつれて、他の健康関連の原因による死亡率は、診断以来、毎年の生存者が増加したため、全体割合として増加した。
研究では、1970年から1999年の間に診断された小児がん5年生存患者の長期健康アウトカムを評価するChildhood Cancer Survivor Studyによるデータが分析された。
31の米国およびカナダの病院が現在の研究に参加している。
1994年に開始したコホート研究は、NIH資金によるもので、生存に関するあらゆる研究者がデータや生物検体バンクへのアクセスを要求することができる。
最近の分析として、National Death Index(国家人口動態統計所における死亡記録情報のセントラル電子インデックス)が、34,043名の小児がん5年生存患者の死亡率を評価した。
全ての被験者は、診断時、21歳未満であった。
一般的な小児がんに対する治療の短縮化による主な影響
5年の生存患者は、診断後平均21年間追跡調査が行われた。
3,958名(12%)の患者が調査期間中に死亡したことが判明し、そのうち1,618名(41%)ががん治療の晩期障害に起因する死亡を含む他の健康に関連する原因であることがわかった。
さらに、全死因死亡率は、これらの20年間で半減した。1970年代初頭に診断された患者の12.4%は、その後15年以内に死亡したのに対し、1990年代初期に診断されたのはわずか6%であった。
同期間に、他の健康関連の原因による累積死亡率は3.5%から2.1%に減少した。
近年に診断された生存患者は、健康関連の原因(第2がん、心臓や肺疾患を含む)による死亡リスクが統計学的に有意に低かった。
研究チームは、死亡率の減少は晩期障害に関連する少数の死亡に起因しており、ウィルムス腫瘍、ホジキンリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)を有する生存患者において最も顕著であったと指摘した。
心臓死は全3種のがん生存患者において有意に減少した。
二次がんによる死亡は、ウィルムス腫瘍の生存患者において減少した。
これらの結果は、有効性を損なうことなく、良好な予後を有する多くの小児がん治療の強度を減少させることで、医師による治療の漸進的な改良により推進される。
例えば、1970年代には全患者の86%が頭蓋放射線療法を受けたのに対し、1990年代には22%のみであった。
また、放射線治療の線量は、ホジキンリンパ腫およびウィルムス腫瘍を有する患者において減少した。
さらに、心臓毒性に強く関連する化学療法、アントラサイクリンの投与量は、これら3疾患全体において減少した。
「がん治療の近代化は、おそらく最も有意な変化、生存患者のための補助治療の改善、そして晩期障害すなわち新たながんや心臓や肺疾患などのスクリーニング、検出、および治療をもたらし、また、生存率を延長させる重要な役割を果たした」と、Armstrong氏が述べた。
Armstrong氏へのinterviewとpress conferenceはこちら。
http://ecancer.org/news/7345
(2015年5月31日公開)