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27 May 2015
大規模な国際的研究により、握力が弱いと、心血管死と非心血管死のリスクが増大するのと同様に、心臓発作と脳卒中のリスクが増大することがわかった。
Darryl Leong氏 ら(Population Health Research Institute, Hamilton Health Sciences and McMaster University 、カナダ)は、The Lancet誌にその結果を発表する。
彼らの結果に基づいて、研究チームは、握力テストは医療従事者が患者が重大な疾患のリスクにさらされていることを確認するための、迅速で低コストのスクリーニングツールとして使用されるかもしれないと述べた。
多くの研究で、握力によって測定される筋力低下が、健康状態、身体障害と早死により高いリスクに関与しているとしている。
しかしながら、研究者らは、これらの研究の一部が、どのように握力が疾患予後の予測の判断材料になるかについてデータを提供してきた。そして多くの研究が特定の高所得国に焦点を当ててきた。
本研究では、Leong氏らはProspective Urban-Rural Epidemiology (PURE)研究の一部である35歳から70歳の139,691名のデータを解析した。
参加者は、カナダ、スウェーデン、インド、南アフリカ、ポーランドを含む、17の低所得と高所得国出身者であり、平均4年間追跡調査された。
参加者全員の握力は、握力計を使って測定された。
握力が5kg減少するごとに、死亡リスクは17%まで増加する。
研究者たちは、握力が5kg低下するごとに、参加者は全死因死亡リスクが16%、心血管系死亡リスクが17%、非心血管系死亡リスクが17%高まった。
さらに、研究チームは、握力が5kg低下するごとに、参加者の脳卒中のリスクが9%、心臓発作のリスクが7%高まることを示した。
心血管系と非心血管系疾患を発症した参加社の中では、低握力により死亡リスクが高まった。研究者によれば、これは、握力が重大な疾患のある人たちの間では、死亡リスクの予知となりえることを示唆している。
研究チームは、年齢、雇用状況、教育レベル、身体活動度、喫煙およびアルコール摂取などを含む、心血管状態と死亡率に影響を及ぼす原因を考慮しても、これらの知見に変わりはなかった。
Leong氏は、握力は個人の死亡と心血管系疾患のリスクを評価する簡単で安価なツールになりえる。筋力を改善する努力が個人の死亡と心血管系疾患のリスクを低下させるかどうかは、さらなる研究が必要であろう、と述べた。
Avan Aihie Sayer教授(University of Southampton、英国),と Thomas Kirkwood教授(Newcastle University、英国)は、本研究に関連したeditorialの中で、これらの知見は新しくはないが、握力が病気と若死にの予測の判断材料になりえるというさらなる証明をしていると述べている。
握力の喪失が、加齢による副作用に対する一つの最終、かつ一般的な経路にのしかかっているとは疑わしい。しかし、おそらく筋機能の変化による筋特異的な疾患の希少性のために、潜在的な加齢プロセスにとっては特殊なよいマーカーであるかもしれない。と両教授は加えた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/293880.php
(2015年5月24日公開)