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11 May 2015
Cancer Research UKの化学者は、細胞内の生命を維持している自爆スイッチがハイジャックされ、膵臓がんおよび非小細胞肺がんがより悪性化することを発見したと、Cancer Cell誌にて発表した。
UCL (University College London) Cancer InstituteのCancer Research UK Centreによるチームは、KRAS遺伝子の変異が、がん性細胞を殺す可能性を持つTRAIL受容体すなわち自爆スイッチの防御を妨げることを発見した。
がん細胞およびマウスで実施された研究にて、KRAS遺伝子欠陥を有するがんにおけるTRAIL受容体が、がん細胞を増殖させ、体内に拡散することが示された
これらKRASの障害は、膵臓がん患者の95%、非小細胞肺がん患者の30%に発症する。
当研究の主任であり、Cancer Research UK-UCL Centre、科学部のディレクターであるHenning Walczak氏は、「われわれは、膵臓がんおよび非小細胞肺がんにおいて、がんに対する体内の自然な防御の克服のための新たな戦略を発表した。これらのがんの障害を理解することで、いつか膵臓がん患者および非小細胞肺がん患者へ治療オプションを提供できるような、より適した治療法の開発が可能であると予測している」と、述べた。
イギリスでは、毎年、32,500名が非小細胞肺がん、8,600名が膵臓がんと診断されている。
これらのがんによる生存率は40年間改善していない。
Cancer Research UK、科学情報シニアマネジャーのNell Barrie氏は、「膵臓がん患者および肺がん患者の生存率はあまりにも低い。理由の一つに、これらのがんは一度拡散すると治療が非常に困難であることがあげられる」と述べた。
「われわれには、より良い治療が早急に必要である。これらのがんと闘う方法を見つけるには、これらのがん分子の働きをより深く調査することが不可欠である。本研究は、より多くの命を救うのに不可欠なステップとして、いつかがんの拡散を止める方法を見つける手掛かりとなるであろう。
参考: von Karstedt et al. Cancer cell-autonomous TRAIL-R signalling promotes KRAS-driven cancer progression, invasion and metastasis. Cancer Cell.
http://ecancer.org/news/7123
(2015年4月2日公開)