ニュース
18 Mar 2015
顕微鏡で正常と観察される前立腺細胞が、がんに発展する遺伝子変異の可能性を有することから、その症状の治療改善に関する新しい方法が、Nature Genetics誌にて発表された。
Cancer Research UK、Dallaglio FoundationそしてWellcome Trustが資金提供した研究により、一部の男性が、多くの異なる遺伝子変異を起こし、顕微鏡で正常に見える非がん性の前立腺細胞である前立腺がんを有することが示された。
前立腺がんが、異なる遺伝的フィンガープリントを有する多くの小さな腫瘍で構成されることは周知されているが、前立腺においてこれらの異なる腫瘍ががん化する原因は、まだ解明されていない。しかし、この新しい研究にて、原因解明の可能性を秘める一部が示された。
研究結果より、正常に見える前立腺細胞の多数は、それらの細胞から発症する可能性がある、さまざまな遺伝障害ならびにがんを有することが示唆された。
これより、なぜ前立腺がんが複数の遺伝的に異なる腫瘍から構成されるかがわかり、前立腺がんの発症は、科学者らが思っていたよりも早い段階で始まることが示唆される。
腫瘍細胞と同時に破壊されるこれらの前がん細胞において、この発見が前立腺がん治療の再考につながる可能性がある。
ロンドンInstitute of Cancer Researchの腫瘍遺伝学教授でRoyal Marsden NHS Foundation Trustの名誉顧問である研究著者Ros Eeles氏は、「顕微鏡で前立腺がんの近くに位置する細胞を検査する際、われわれはその細胞の形、サイズそしてその周りの細胞との関係性を観察する。そして、もし、どのカテゴリーにおいても正常であった場合は、健康な細胞組織であると仮定する」と、述べた。
「しかし、遺伝子シーケンシングのおかげで、これらの正常に見える細胞の一部は、すでに周囲のがんにリンクし、遺伝的な過失を有することが示された。本研究により、われわれは前立腺がん発症に関する詳細を理解し、その根本から疾患に取り組むことができる」
University of Cambridge の研究著者David Neal氏は、「正常に見える細胞に関する広範な発見は、さらに多くの男性において検査が必要である。しかし、もしこれが正しければ、他の前立腺に関する問題を無視してがんのみを治療することに、疑問が生まれてくるであろう」と述べた。
本研究のために、グローバルプロジェクトとしてInternational Cancer Genome Consortium (ICGC)の一部が形成され、疾患を引き起こす遺伝子変異が明らかになる、最新のゲノムシーケンシング技術が使用された。
Cancer Research UKの臨床医長であるPeter Johnson氏は、「われわれは、がんについて学ぶたびに、それがどれだけ複雑であるかを発見する。変異性を有する細胞が常にがんに変異するかどうかはわからないが、この発症プロセスを制御する方法を見つける必要がある」と、述べた。
「われわれは、将来のがん発症を阻止すべく、前がん細胞を検出する新しい方法を発見するために研究を進めている。この最新の研究により、より多くの男性が前立腺がんに打ち勝つための、効果的な洞察が発表された」
http://ecancer.org/news/7042
(2015年3月6日公開)