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17 Mar 2015
科学者らが、ある脳腫瘍患者に対して、放射線ならびに化学療法薬剤のテモゾロミドを含む、標準治療が効かなくなることが、科学者らにより発見されたようだ。
簡単に言うと、それは患者のDNAが原因であり、特定の種の脳腫瘍を治療するための新たな道を切り開く可能性がある。
神経膠芽腫、すなわち最も一般的かつ悪性度の高い神経膠腫または脳腫瘍において、損傷または変異したがん細胞が自ら修復し、“増強”した時、DNAは疾患の進行をより早める可能性がある。
「効果的な治療による大きな障害は、治療が効かなくなることである」と、テキサス州MD Anderson Cancer Centre のWei Zhang氏は述べた。
「増強したDNAの修復により、これらのがん細胞は抵抗性ならびに腫瘍再発をもたらし、生存することが可能となる。われわれは、Aktr3が確実に神経膠腫進行を刺激する能力があると同定した」
Aktは、細胞のシグナル伝達を調節するキナーゼとして知られるタンパク質である。それらは、細胞増殖、細胞死ならびに腫瘍増殖といった多くの身体プロセスに関与している。
Aktは、前立腺、乳房、肝臓、結腸直腸などを含む多くのがんの発生ならびに進行に寄与すると考えられる。このタンパク質Akt3の一形態は、脳内で特に慢性化しているように見える。
National Academy of Sciences紀要の3月2日号で発表されたZhang氏の調査結果には、彼のチームの研究結果、どのようにAkt3が主なDNA修復経路を起動させるか、について述べられている。
Zhang氏の研究において、彼は、Akt3がDNAの“パネル修復”、すなわちDNA修復たんぱく質の活性を高め、がん治療抵抗性に続いてDNA修復の増加をもたらすことを明らかにした。
「この活性化は、放射線やテモゾロミドによる治療後の脳腫瘍細胞の生存上昇につながった」と、Zhang氏は述べた。「われわれの研究は、Akt3が発現する多数のがん型に対して、潜在的にまた広範囲に適用される」
「この経路をブロックすると、強化されたDNAの修復により、治療抵抗性阻止または軽減に役立つ可能性がある」
http://ecancer.org/news/7058
(2015年3月12日公開)