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17 Mar 2015
前立腺がん既往歴の第一度近親者を有する女性は乳がん発症リスクが高い可能性があることが、inCANCER誌で発表された。
本研究の結果は、患者の発がんリスク評価のために、臨床医が異性の家族も含めたあらゆるがん家族歴情報を得るべきであることを示唆する。
乳がんならびに前立腺がん発症のリスクは、同じ疾患の家族歴、特に第一度近親者がその疾患を有する場合において高いことが、研究結果により示された。
しかしながら、家族歴における乳がんと前立腺がんの関係性については、ほとんど知られていない。
デトロイトにあるBarbara Ann Karmanos Cancer Institute ならびにWayne State University School of Medicine のJennifer L. Beebe-Dimmer氏は、1993年から1998年間にWomen’s Health Initiative Observational Studyに在籍し、この研究を開始した、当時は乳がん未発症であった女性78,171名について調査を行った。
追跡期間中に3,506例の乳がん症例が診断され、調査は2009年に終了した。
研究者らは、さまざまな患者因子を調整した後、第一度近親者(父親、兄弟、そして息子)における前立腺がんの家族歴が、女性における乳がんリスク14%の増加に関連していることを発見した。
両方のがんにおける共通の関連性を調査する個別分析においては、乳がんならびに前立腺がんの家族歴は、乳がんリスク78%の増加と関連していることがわかった。
乳がんならびに前立腺がんの家族歴に伴うリスクは、白人女性よりもアフリカ系アメリカ人の女性のほうが高かった。
「前立腺がんの家族歴が関連した乳がんリスクの増加はわずかなものである。しかしながら、第一度近親者に乳がんならびに前立腺がんの家族歴を有する女性の乳がんリスクは、有さない女性のおおよそ2倍である」と、Beebe-Dimmer氏は述べた。
Beebe-Dimmer氏は、がんのリスク評価において、患者や医師が家族における特定のがん診断歴、特に異性の診断歴を考慮しない可能性を留意した。
そして、「これらの発見は、患者のがん発症リスク評価のために、すべてのがん家族歴、特に第一度近親者に関する情報を得た医師のアプローチに役立つという点で重要である」と続けた。
「異なる腫瘍クラスタリングを有する家族にとって、このクラスタリングを説明する新たな遺伝子変異を発見するための研究が非常に重要となるであろう」
http://ecancer.org/news/7039
(2015年3月9日公開)