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23 Feb 2015
太りすぎの子どもは、スリムな子に比べて成人になった時に食道がんになるリスクが高いと、British Journal of Cancer誌で発表された。
研究者は、1930年から1971年生まれの7歳から13歳のデンマークの児童255,000名以上における身長と体重について、健康記録(カルテ)から調査した。
研究者はBMI(Body Mass Index=肥満度指数)を計算した。
BMIは体重を身長と比べるもので、健康的な体重であるかどうかを評価する簡単な方法である。
調査対象の児童のうち250名以上が、40歳以上になった時に食道がんを発症した。
児童の健康記録とこれらの児童が中年層になった時の記録を照合したところ、研究者は、9歳から13歳のBMI値が高く、太りすぎや肥満の傾向が強い児童が、将来、この種のがん発症の高いリスク傾向にあることを発見した。
1930年代から1970年代までの結果より、デンマークの成人男性における全食道がん発症の2.1%が、13歳の時に太りすぎや肥満であった児童に起因する可能性があることが算出された。
しかし研究者は、幼児期の肥満レベルの上昇により、将来的には、これら全男性における食道がんの発症は17.5%ほどに上昇すると推定している。
デンマークのInstitute of Preventive MedicineとUniversity of Copenhagenの准教授であるJennifer Baker氏は「これらの結果から、太りすぎや肥満の子どもの増加は、将来における食道がんの発症率の著しい増加原因につながることがわかる」と述べた。
「子どもが太りすぎであることは、その後の人生において、食道がんの高い発症リスクに直接関係するかもしれない。または、太りすぎの子どもは成人になっても変わらない傾向があり、成人において太りすぎであることが、食道がんを含めた多くのがんのリスク因子であることは知られている。さらなる研究が必要とはなるが、この関係性は正しく、この結果より子どもが標準体重を保つことの重要性が明確に示された。とくに、太りすぎの子どもが成人になると、他のがんリスクが高まる可能性を示した証拠はすでに存在している」
食道がんは、成人にとって、イギリスにおいて毎年診断される8,300症例のなかで13番目に一般的ながんである。
女性にくらべて男性は約2倍の発症率である。
以前のCancer Research UKにおける研究では、太りすぎまたは肥満が原因であるのは、男性において4人の食道がん患者のうち1人以上、そして女性において10人のうち1人ほどであると推定された。
これは、肥満の人は胃酸が逆流する傾向があり、それが原因かもしれない。胃から酸が逆流することで、食道の粘膜を刺激する可能性があり、これが食道がんのリスク因子である。
高いBMI値はまた、子どもの胃食道逆流性疾患と関連している。
デンマークの研究では、がん発症について人的リスクの一因である社会的要因や生活要因を考慮していないが、研究者はこれらの結果に影響したであろう証拠が少なかったと述べる。
Cancer Research UK、健康情報機関の代表であるJulie Sharp氏は、「本研究により、子どもの太りすぎが、10年後においても健康に影響をもたらすことが示された。本研究が、人生を最適にスタートさせ、将来におけるがんなどの疾患発症を防いだであろうことから、子どもの健康な食生活と活動が非常に重要であることは明らかである」
参考:Michael B. Cook et al., Childhood body mass index in relation to future risk of oesophageal adenocarcinoma, Nature
http://ecancer.org/news/6952
(2015年2月5日公開)