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06 Jan 2026
オーストラリアの研究者らは、TAK1遺伝子が免疫系による攻撃からがん細胞を生き延びさせていることを発見し、免疫療法の有効性を制限し得るメカニズムを明らかにした。
がん免疫療法は非常に高い効果を示すことがある一方で、免疫系による攻撃に抵抗することを可能にする、腫瘍が本来備えている生存機構により、一部の症例では十分な効果を発揮しない場合がある。
Olivia Newton-John Cancer Research Institute(ONJCRI)およびWEHIの研究者らは、TAK1遺伝子がCD8⁺ T細胞によって産生される強力なシグナルからがん細胞を保護する「安全スイッチ」のように機能することを発見した。
TAK1は、免疫系の主要な殺傷細胞であるCD8⁺ T細胞による攻撃からがん細胞の生存を助ける遺伝子を探索する大規模な遺伝学的スクリーニングによって同定された。
ONJCRIのポスドク研究員であり、La Trobe University School of Cancer Medicineに所属するAnne Huber博士は、次のように述べている:
「TAK1ががん細胞の生存を促進し、細胞死を阻害することは知られていたが、がん細胞がこの戦略を用いて免疫系による殺傷を回避していることはこれまで明らかではなかった」
研究者らは、CRISPR/Cas9技術を用いてTAK1遺伝子をサイレンシングすることで、がん細胞の生存におけるTAK1遺伝子の重要性を検証した。
正常な免疫機能を有する前臨床モデルにおいて、TAK1を欠損した腫瘍は増殖が不良であることが示され、免疫系ががん細胞をより効果的に制御できることが明らかとなった。
Huber博士は次のように述べている:「TAK1が阻害されると、CD8⁺ T細胞によって産生される免疫シグナルにより、がん細胞の自己破壊経路が引き起こされた」
「TAK1が欠如すると、がん細胞では、細胞死を防ぐ役割を通常担っている重要なタンパク質であるcFLIPが失われ、免疫系による攻撃に対してはるかに感受性が高くなる」
TAK1を不活性化することで、がん細胞は免疫系によってはるかに排除されやすくなり、将来的により強力な治療選択肢につながる可能性が示された。
ONJCRIのポスドク研究員であるTirta (Mario) Djajawi博士は、次のように述べている:「TAK1を阻害することで、腫瘍が有するこの防御機構を失わせ、既存の免疫療法をより有効にできる可能性がある」
「TAK1は、免疫系から最も強い攻撃を受けてもがん細胞が生き延びることを可能にするショックアブソーバーのような存在である。これを取り除けば、腫瘍は免疫攻撃の力に耐えきれず崩壊する」
今後、研究チームは革新的な液体ナノ粒子技術を用いたTAK1阻害に関するさらなる研究を進めるとともに、既存の免疫療法ががん細胞に対して示す有効性を検証していく予定である。
本研究は主にメラノーマを中心に、様々ながん種を対象として実施された。メラノーマは免疫療法が用いられることの多いがんであり、世界では年間約33万人が診断され、約6万人が死亡している(2022年のデータ)。
本研究は、WEHIのStephin Vervoort 博士の研究室およびSarahi Mendoza Rivera氏との共同研究として実施された。
論文全文はCell Reports 誌を参照して下さい。
(2025年12月22日公開)