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05 Nov 2025
UCLAの研究者らが主導した新研究によると、米国でがんによる死亡原因の第2位である転移性大腸がん患者において、標準治療薬レゴラフェニブに比べて、標的療法薬であるzanzalintinibと免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの併用により、生存期間の延長と疾患制御の改善が認められた。
この研究結果はLancet誌に同時掲載されるとともに、ESMOで発表された。大多数の転移性大腸がん患者に対する免疫療法ベースの治療レジメンが生存率の向上を示したのは今回が初めてである。
「この研究は、これまで治療選択肢がほとんどなかった患者にとって重要な前進となる」と、UCLAのDavid Geffen School of Medicine臨床医学教授で、この研究の筆頭著者であるJ. Randolph Hecht博士は述べた。
「ようやく、より多くの大腸がん患者で免疫療法による効果が出る方法が見つかる可能性がある」
転移性大腸がんの転帰は依然として不良で、5年生存する患者はわずか15%程度に過ぎない。
標準治療に反応しなくなったがん患者は、余命が限られており、効果的な治療法がほとんどないことが多い。
転移性大腸がん患者の一部は、免疫チェックポイント阻害薬などの免疫療法薬の恩恵を受ける一方で、それらは、MSI-HまたはdMMRとして知られる特定の遺伝的特徴がある腫瘍を持つ患者の約5%にのみ効果を発揮する。
残りの95%の患者では、免疫療法は明らかな効果を示しておらず、標準治療が効かなくなった後のより良い治療法に対する大きなニーズが依然として存在している。
治療の後期段階で使用される現在の薬剤(標的療法であるレゴラフェニブを含む)は、生存期間を平均約7か月しか延長しない。
このため、研究者らは治療効果を向上させるため、併用療法の試験を進めてきた。
ベバシズマブをトリフルリジン・チピラシルに追加するなどの一部の併用療法では、わずかな改善が認められた。
免疫療法と標的薬の併用など他の手法は、小規模な初期研究では有望な結果を示しているが、大規模試験ではまだ明確な生存率の改善効果は確認されていない。
免疫療法が大腸がんの大部分で十分な効果を発揮しない一因として、これらの腫瘍はしばしば免疫抑制的環境にあり、免疫細胞による効果的な攻撃を妨げていることが考えられる。
新薬zanzalintinibは、腫瘍の成長を促進し、免疫応答を抑制するVEGFR、MET、TAMキナーゼなどの複数のタンパク質を標的とする。
これらを阻害することで、zanzalintinibは腫瘍を免疫療法に対してより脆弱にする可能性がある。
有望な初期結果を受けて、Hecht氏率いる研究チームは、既治療の転移性大腸がん患者を対象に、zanzalintinib+アテゾリズマブと標準治療であるレゴラフェニブを比較する国際第III相試験STELLAR-303を開始した。
本試験には16か国121施設から患者901名が参加し、半数は新規併用療法zanzalintinib+アテゾリズマブ、残りの半数は標準治療薬レゴラフェニブの投与を受けた。
約18か月の追跡調査後、新規併用療法群はレゴラフェニブ単独群よりも生存期間が長く、中央値で10.9か月vs 9.4か月となり、併用療法により死亡リスクが約20%減少した。併用療法群の約20%が2年後に生存していたのに対し、レゴラフェニブ単独群では10%であった。
「生存率の向上は、肝臓に転移したがん患者を含むすべての主要なサブグループで認められた。このグループは通常、免疫療法への反応が良くない」と、UCLA Health Jonsson Comprehensive Cancer Centreのメンバーであり、UCLA Gastrointestinal Oncology Programmeのディレクターを務めるHecht氏は述べた。
「これは、複数の増殖および免疫抑制経路を阻害するzanzalintinibが、免疫攻撃を受け入れやすい腫瘍環境を作り出すのに役立つためと考えられる」
併用療法により、がんの進行が遅くなり、腫瘍の増大や転移に要する期間が延びた(中央値3.7か月vs 2.0か月)。さらに、より多くの患者で腫瘍の縮小が認められた(奏効率4%vs1%)。
研究者らは、副作用は管理可能であり、このクラスの薬剤で予想されるものと一致していたと指摘した。最も一般的な副作用は、疲労、高血圧、下痢であった。
「これらの結果は、zanzalintinibとアテゾリズマブ併用療法が有望な新たな治療選択肢であり、標準治療に反応しなくなった患者への治療アプローチを再定義する可能性を示している」と、Hecht氏は述べた。
本研究はExelixis社により資金提供され、アテゾリズマブはRoche社より提供された。
(2025年10月21日公開)