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e-cancer:がん全般 患者自身の自己抗体ががん免疫療法の反応を高める鍵となる可能性

05 Aug 2025

画期的な研究により、自己抗体(従来は自己免疫疾患と関連づけられていた免疫タンパク質)が、がん患者の免疫療法への反応に大きな影響を与える可能性があることが明らかになった。

7月23日にNature誌に掲載されたこの研究は、現代の腫瘍学における最も悩ましい謎の一つである、チェックポイント阻害剤がなぜ一部の患者には効いて、他の患者には効かないのかという謎を解明する突破口となる可能性を秘めている。また、その恩恵をより多くの人に広げるにはどうすればよいのかも解明している。

「われわれの分析は、ある種の自然発生する自己抗体が、腫瘍を縮小させる可能性を劇的に高める可能性があることを示している」と、Fred Hutch Cancer Centreの准教授で、本研究の筆頭著者であるAaron Ring博士は述べた。

「自己抗体によって、チェックポイント阻害剤に対する患者の反応確率が5~10倍も高まるケースもあった」

Nature誌の研究は、自己抗体ががんの弱点を明らかにし、新たな治療標的を指し示す可能性を示唆している。

自己抗体は、体自身の組織を認識する免疫システムによって生成されるタンパク質である。

これらは、ループスや関節リウマチのような自己免疫疾患の発症に有害な役割を果たすことで最もよく知られている。

しかし、新たなエビデンスは、場合によっては自己抗体が驚くほど健康上の利益をもたらす可能性があることを示唆している。

「長年、自己抗体はおもに自己免疫疾患における悪役と見なされてきたが、強力な内在型治療薬としても機能することがわかってきている」と、Fred HutchのAnderson Family Endowed Chair for Immunotherapyの責任者であるRing氏は述べた。

「私の研究室では、この隠れた薬理学を解明し、これらの天然分子をがんやその他の疾患の新しい治療法に応用することを目指している」

Nature誌の研究では、Ring氏と共同研究者らは、彼が開発したREAP(Rapid Extracellular Antigen Profiling)と呼ばれるハイスループットアッセイを用いて、チェックポイント阻害剤投与のがん患者374名と健常人131名の血液サンプルから、6,000種類以上の自己抗体をスクリーニングした。

チェックポイント阻害剤は、免疫系を活性化し、がんを発見し攻撃することで、黒色腫や非小細胞肺がんを含むさまざまながんの治療に革命をもたらした。

しかし、すべての患者がこれらの治療に反応するわけではなく、多くの場合、その抗腫瘍効果は不完全であり、治癒に至らないことがある。

患者と健常人から採取した血液サンプルを用いて実施されたREAP解析の結果、がん患者は健康な対照群と比べて自己抗体のレベルが著しく高いことが明らかになった。

重要なのは、特定の自己抗体がより良い臨床結果と強く関連しており、免疫療法の有効性を高める潜在的な役割を果たす可能性があることを示している。

例えば、インターフェロンと呼ばれる免疫シグナルを阻害する自己抗体が、チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果の向上と関連していることが示された。

この結果は、他の研究結果と一致しており、インターフェロンが多すぎると免疫系が消耗し、その結果、免疫療法の効果を抑制する可能性があることを示している。

「患者によっては、免疫システムが実質的に独自のコンパニオンドラッグを作り出した」と、Ring氏は説明した。

「彼らの自己抗体はインターフェロンを中和し、チェックポイント阻害剤の効果を増強した。この発見は、他のすべての患者に対してインターフェロン経路を意図的に調節する併用療法の明確な青写真となる」

すべての自己抗体が有益なわけではなかった。

研究チームは、チェックポイント阻害剤による転帰の悪化と関連する遺伝子をいくつか発見したが、これは抗腫瘍反応に必要な重要な免疫経路を阻害したためと考えられる。

これらの有害な自己抗体を排除または打ち消す方法を見つけることで、免疫療法の有効性を高めるための有望な新たな道が開かれる可能性がある。

「これはまだ始まりに過ぎない」と、Ring氏は述べた。

「われわれは現在、他のがんや治療法にも研究を広げており、自己抗体を活用(あるいは回避)して、より多くの患者に免疫療法を届けられるよう努めている」

この研究は、Mark Foundation for Cancer Research、Pew Charitable Trustsにより資金提供を受け、Anderson家からは寄付も受けた。

Ring氏は、本論文で用いられたREAP技術の商業ライセンス保有者であるSeranova Bio社の創設者兼取締役である。

 

https://ecancer.org/en/news/26793-patients-own-autoantibodies-may-hold-key-to-boosting-cancer-immunotherapy-response

(2025年7月24日公開)

 

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