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04 Aug 2025
「本研究は、スタチンが腺腫形成の主要因であるWnt/β-カテニンシグナル伝達経路の主要構成因子、特にspecial AT-rich sequence-binding(SATB)タンパク質ファミリーに対して、選択的に調節作用を示す直接的な証拠を提供する」
2025年7月21日付のOncotarget誌 第16巻に「Statins exhibit anti-tumour potential by modulating Wnt/β-catenin signalling in colorectal cancer」というタイトルの新たな研究論文が掲載された。
本研究は、Indian Institute of Science Education and Research の筆頭著者であるSneha Tripathi 氏および 責任著者であるShiv Nadar University の Centre of Excellence in Epigeneticsに所属する Sanjeev Galande 氏により主導されたものであり、研究チームは、コレステロール低下薬として広く使用されているスタチンが、大腸がんの増殖を抑制する可能性があることを明らかにした。
この知見は、これらの一般的な薬剤に、がんの予防および治療において新たな役割の可能性を示唆している。
大腸がんは、世界的にがん関連死の主要な原因の一つであり、治療成績の向上に向けた新たな戦略の確立が急務とされている。
スタチンは、もともとコレステロール値の低下を目的に開発された薬剤であるが、その抗がん作用の可能性にも注目が集まっている。
本研究では、スタチンが、大腸がんの発症および進行に重要な役割を果たすWnt/β-カテニンシグナル伝達経路にどのように作用するかが検討された。
研究者らは、スタチンがWnt/β-カテニンシグナル伝達経路を阻害し、その結果、腫瘍促進タンパク質のレベルを低下させ、がん抑制的な細胞行動が誘導されることを明らかにした。
大腸がん細胞株およびマウスモデルを用いた実験により、スタチンは顕著な副作用を伴うことなく腫瘍増殖を抑制することが確認された。
本研究はさらに、スタチンが、悪性度の高い腫瘍に関連するSATB1タンパク質の発現を抑制し、一方で、腫瘍抑制作用を有するSATB2の発現を増加させることを明らかにした。
これらの変化により、がん細胞の増殖および浸潤能が低下した。
この相反的な調節により、3次元スフェロイドモデルにおいて、細胞表現型は上皮型と間葉型の状態の間で変化する。
全体として、本研究結果は、スタチンが既存の大腸がん治療を補完する薬剤として再活用され得ること、さらには高リスク者に対する予防的戦略にも応用可能であることを示唆している。
大腸がんの発症を促進する分子機構を標的とすることで、スタチンはがん治療における今後の研究に向けた、有望で入手しやすく作用機序がよく理解された選択肢となり得る。
本研究は、スタチンをがん治療にどのように最適に組み込むかを検討するための、より大規模な臨床研究への道を拓くものである。
このアプローチが成功すれば、大腸がんという依然として重大な健康上の課題に対して、費用対効果に優れた対策となり得る。
https://ecancer.org/en/news/26785-cholesterol-lowering-drugs-show-promise-against-colorectal-cancer
(2025年7月23日公開)