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e-cancer:血液がん ASCO 2025|侵襲性の急性骨髄性白血病に対する新たな治療法の可能性を示唆する研究

16 Jun 2025

Roswell Park Comprehensive Cancer Centerが共同主導した国際共同臨床試験により、治験薬のziftomenibが、急性骨髄性白血病(AML)の特定の生物学的サブタイプを有する患者において、深く持続的な奏効をもたらすことが示された。

シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、Roswell Parkの白血病部門長であるEunice Wang博士は、KOMET-001試験(NCT04067336)の第ⅠB/第Ⅱ相の結果を口頭演題として発表した。

NPM1遺伝子変異は、AML患者全体の約30%に認められる。

これらの患者のほぼ半数では、治療から1年以内に再発または標準治療に対する耐性が生じる。

その時点では予後は不良であり、治療により完全奏効を得られる患者は10%未満、生存期間中央値はわずか6.1か月である。

Ziftomenibは、強力かつ選択的なメニン阻害薬であり、特定のタイプの急性白血病細胞の生存および増殖に不可欠な2つのタンパク質(メニンおよびKMT2A)の相互作用を阻害する、新しいクラスの分子標的薬の一つである。

「この第Ⅱ相試験の結果は、NPM1変異を有する再発または難治性の急性骨髄性白血病において、ziftomenibが奏効を誘導し、奏効した患者の生存期間を延長し得る可能性を示すものである。この疾患は現時点で予後不良であり、承認された分子標的治療の選択肢が存在しない」と、Roswell Park医学部門の腫瘍学教授で血液学の専門家であるWang氏は述べている。

2024年末までに、第Ⅱ相KOMET-001試験には北米および欧州で112例が登録されており、全員が再発または難治性のNPM1変異陽性AML患者であった。

患者は、ziftomenib 600mgを1日1回経口で単剤投与され、追加薬剤は使用されなかった。

第Ⅱ相試験において、追跡期間中央値4.2ヵ月の時点で、全体の23%(92例中21例)が完全奏効(CR)または部分的血液学的回復を伴う完全奏効(CRh)を達成した。これは、治療後に血球数が部分的に正常範囲へ回復したことを意味する。

検査を受けた23%の患者のうち、67%(15例中10例)は、微小残存病変(MRD)検査において疾患が検出されなかった。

Ziftomenibの忍容性は一般的に良好であり、第ⅠB/第Ⅱ相試験中、治療関連有害事象により治療を中止した患者はわずか3%(112例中3例)であった。

KOMET-001試験では、他の標準治療の適応とならない再発または難治性のAML患者が登録された。

第Ⅰ相試験は第Ⅱ相と並行して実施され、ziftomenib単剤療法における最適用量の調整に焦点が置かれた。

第Ⅰ相試験の初期結果はThe Lancet Oncology誌に掲載されており、NPM1遺伝子変異およびKMT2A遺伝子再構成を有する患者における本薬剤の有効性が示された。

第Ⅱ相試験では、NPM1遺伝子変異を有する再発または難治性AML患者における安全性、忍容性、および抗白血病活性が特に検討された。

今回の知見は特に重要である。というのも、現在、AML患者の過半数は分子標的薬の適応となる変異を有しておらず、そのため化学療法などの細胞障害性治療を受けているが、これらの治療では十分な臨床成績が得られていない。

初期の第Ⅰ相臨床試験の結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は、ziftomenibに対して「画期的治療法(Breakthrough Therapy)」に指定し、開発および審査の迅速化を図った。

Ziftomenibは現在、再発または難治性のNPM1変異陽性AMLを有する成人患者を対象とした新薬承認に向けて、FDAによる審査を受けている。

本研究の著者には、米国、フランス、スペイン、イタリアおよびドイツの学術機関に所属する研究者が含まれている。

University at Buffalo Jacobs School of Medicine and Biomedical Sciencesの副教授を務めるWang氏は、Roswell Parkの白血病患者がziftomenibによる治療を世界で最も早い段階で受けた患者の一部であったことを指摘している。

 

https://ecancer.org/en/news/26532-asco-2025-study-highlights-potential-new-treatment-for-aggressive-form-of-acute-myeloid-leukaemia

 

(2025年5月30日公開)

 

 

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