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05 Jun 2025
国際共同第Ⅲ相臨床試験の結果によると、サシツズマブ ゴビテカンおよびペムブロリズマブの併用療法は、化学療法およびペムブロリズマブの併用療法と比較して、切除不能な局所進行または転移性PD-L1陽性のトリプルネガティブ乳がん (TNBC) 患者において、無増悪生存期間を延長することが示された。
本研究は、5月30日～6月3日にシカゴで開催された2025 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meetingで発表された。
「転移性トリプルネガティブ乳がん患者の多くは、健康状態の悪化や死亡など様々な理由で一次治療後に治療を受けておらず、これは一次治療における選択肢に対するニーズが満たされていないことを示している」と、筆頭著者であるDana-Farber Cancer Institute（マサチューセッツ州、ボストン）のSara M.Tolaney医師（MD, MPH）は述べた。
ASCENT-04/KEYNOTE-D19臨床試験は、切除不能な局所進行または転移性PD-L1陽性のTNBC患者に対する一次治療として、抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカンおよびペムブロリズマブの併用療法を検討するために設計された。
サシツズマブ ゴビテカンは抗体薬物複合体である。この種の標的治療は、抗体と抗がん剤を結合させたものである。
この抗体は、がん細胞に存在する特定のタンパク質に抗がん薬を送達する。サシツズマブ ゴビテカンは、腫瘍細胞に発現するTrop-2と呼ばれるタンパク質を標的とする。
本試験には26ヵ国から患者443名が登録された。参加者の患者背景は2つの治療群間で群間差がなく、転移性TNBCと診断された患者の特徴と一致していた。患者は、サシツズマブ ゴビテカン+ペムブロリズマブ群 (221名) または化学療法＋ペムブロリズマブ群 (222名) に無作為に割り付けられた。
いずれの治療も、がんの進行が認められるか、あるいは副作用により治療中止が必要となるまで継続された。
主な研究結果
● 中央値14ヵ月の追跡期間後、サシツズマブ ゴビテカン+ペムブロリズマブ群の患者の無増悪生存期間は11.2ヵ月であり、化学療法＋ペムブロリズマブ群では7.8ヵ月であった。
● サシツズマブ ゴビテカン+ペムブロリズマブ群の患者は、化学療法＋ペムブロリズマブ群の患者と比較して、がん進行のリスクが35%低かった。
● 奏効期間中央値は、サシツズマブ ゴビテカン+ペムブロリズマブ群で16.5ヵ月であったのに対し、化学療法+ペムブロリズマブ群では9.2ヵ月であった。
サシツズマブ ゴビテカン+ペムブロリズマブ併用群で最も多く認められたグレード3および4の有害事象は、好中球減少症 (43%) および下痢 (10%) であった。化学療法+ペムブロリズマブ群で最も多く認められたグレード3および4の有害事象は、好中球減少症 (45%)、貧血 (16%) および血小板減少症 (14%) であった。
研究者らは、サシツズマブ ゴビテカン＋ペムブロリズマブ群が対照群と比較して全生存期間に対する有益性が認められるかをより明らかにするために、引き続きこれらの患者の追跡を行う予定である。この薬剤併用療法は、ヒト上皮成長因子受容体（HER2）陰性転移性乳がん、早期TNBC、およびホルモン療法後のホルモン受容体陽性/HER2陰性転移性乳がんの患者においても検討されている。
「この研究は、転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する初回治療としてサシツズマブ ゴビテカンをペムブロリズマブと併用することで、化学療法＋ペムブロリズマブと比較して、より優れた病勢コントロールと副作用の軽減が得られることを示している。これらの研究結果は、サシツズマブ ゴビテカン単独療法が二次治療以降の有効性を示していることに基づいており、サシツズマブ ゴビテカン＋ペムブロリズマブの併用療法は、この治療ラインにおける新たな一次治療の標準療法となる可能性が高い」と、Winship Cancer Institute of Emory University School of MedicineのBreast Medical Oncologyの共同ディレクターであり、ASCOの乳がん専門家であるJane Lowe Meisel医師（MD, FASCO）は述べた。
（2025年５月31日公開）
