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29 May 2025
Johns Hopkins Kimmel Cancer Centerおよび他の4施設の臨床医らは、極めて悪性度の高い脳腫瘍である膠芽腫の針生検から得られた腫瘍組織を複数の検査手法で解析することにより、患者のがんに関して豊富な知見を得ることができることを実証した。
この研究は、Break Through Cancerの資金提供を受けて実施され、2025年4月28日付のNature Communications誌に掲載されたものであり、他のがん種にも応用可能な意義を持つ。
現在、医師は膠芽腫の小さな腫瘍検体の採取を制限している。というのも、この手技(定位針生検)は、麻酔下での手術を必要とするからである。
腫瘍検体は通常、治療開始時に採取され、場合によっては治療終了時にも採取される。しかし新たな研究では、研究者らは膠芽腫細胞の殺傷を目的としたウイルスを腫瘍内に注入した。
同じ処置の際に、外科医は腫瘍組織検体を採取し、それらを単一細胞RNAシーケンシング、トランスクリプトミクス、メタボロミクス、プロテオミクス、免疫プロファイリングなどの複数の高度な検査手法にかけることで、小さな組織サンプルであっても、腫瘍の生物学的特性、免疫応答との相互作用、分子経路に関するさらなる知見が得られることを示した。
本研究では、腫瘍組織をマウスモデルに移植することで、さらなる解析が可能であることも明らかとなった。
がん領域における大きな課題の一つは、治療選択肢が限られているこれらの腫瘍に対して、より優れた治療法を見つけることである。我々には、ある治療が効果を示し、別の治療が効かない理由について、より深い理解が必要だ」と、本研究の共著者でJohns Hopkins University School of Medicineの腫瘍学准教授であり、Kimmel Cancer Center脳腫瘍疾患グループの共同ディレクターを務めるMatthias Holdhoff医学博士・博士(Ph.D.)は述べている。
本研究において、研究者らは腫瘍組織検体から得られる情報を最大限に引き出すことを目指した。
「この概念は、脳腫瘍だけにとどまらず、より広く応用可能である」と語るのは、本研究の共著者であり、Metastatic Brain Tumour CenterにおいてディレクターおよびLudwig Centre for Cancer Genetics and Therapeuticsのメディカルディレクターを務めるChetan Bettegowda医学博士・博士(Ph.D.)である。
彼はまた、Johns Hopkins University School of Medicineにおいて、神経外科の次期部門長であり、Harvey Cushing Professor of Neurosurgery、ならびに腫瘍学教授である。
「針生検が行われるとき、これまでは、その組織ががんかどうか、種類は何か、そしてせいぜい非常に簡単な分子レベルの特徴づけを行う程度で十分とされてきた。この研究は、組織解析をアップデートするものである。これまで腫瘍内科医たちは、再生検をあまり行ってこなかった。それは、『初回診断で得られた情報以外に、何が新たに分かるのか?』と思っていたからだ。だが実際には、学べることは非常に多い」
本研究には、Memorial Sloan Kettering Cancer Center、ボストンのDana-Farber Cancer Institute、ヒューストンのMD Anderson Cancer Center、ならびにマサチューセッツ州ケンブリッジにあるKoch Institute for Integrative Cancer Research at MITも参加している。
【2025年5月15日公開】