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e-cancer:頭頸部がん AACR 2025|標準治療に周術期にペムブロリズマブを追加することで、新たに頭頸部がんと診断された患者の予後が改善

28 May 2025

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)を術前・術後補助療法として投与したところ、これまで治療歴のない局所進行頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者の奏効と生存率が改善したことが、2025年4月25~30日に開催されたAmerican Association for Cancer Research (AACR) Annual Meeting 2025で発表された第Ⅲ相臨床試験結果により示された。

通常、新たにHNSCCと診断された患者の多くは手術を受け、その後、化学療法の有無に関わらず放射線療法を受けると、本研究の発表者であるRavindra Uppaluri医学博士(MD,PhD)は説明した。

Uppaluri氏は、Brigham and Women’s Hospital耳鼻咽喉科のEndowed ChairおよびDana-Farber Brigham Cancer Center頭頸部外科腫瘍学部長で、Harvard Medical School耳鼻咽喉科・頭頸部外科の准教授でもある。

「この従来の治療法は20年以上前から続いているが、残念ながら多くの患者の予後は依然として満足のいくものではない」と同氏は述べた。

「免疫療法は、腫瘍が最初に診断された時点でも、初回治療後に微小残存病変がある状況においても有効性が期待される」とUppaluri氏は続けた。

「手術前は腫瘍量や抗原負荷が高いため、免疫療法によって免疫応答が強化され、腫瘍を殺傷し始める。標準治療後、依然として残存している可能性のあるがん細胞にも免疫療法が作用する」とUppaluri氏は述べた。

「我々は、Washington University医学部のDouglas Adkins医学博士と協力し、これまでの第Ⅱ相試験で周術期におけるペムブロリズマブの投与が安全であり、外科的治療を受けた頭頸部がん患者に興味深い臨床的奏効を示すことを確認していた」

第Ⅲ相KEYNOTE-689試験では、Uppaluri氏らは、現在の標準治療に免疫療法を追加することで再発を予防できるかを検証しようとした。

無作為化非盲検実薬対照試験において、研究者らはステージ3~4のHNSCC(喉頭、下咽頭、口腔を含む)患者714名を登録した。

全患者が手術を受けた後、病理所見に基づいた術後補助療法を受け、このうち363名が手術前後にペムブロリズマブを投与される群に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は無イベント生存期間(再発または死亡)であり、副次評価項目は腫瘍の90%以上の縮小と定義される病理学的主要奏効(mPR)率と全生存期間であった。

患者の半数は少なくとも38.3ヵ月の追跡調査を受けており、ペムブロリズマブによる治療を受けた患者は再発を経験する可能性が少なくとも27%低かった。

ペムブロリズマブを投与された患者は、投与されなかった患者と比較してmPRを得る可能性が高く、腫瘍がPD-L1を発現していた患者では、生存とmPRのいずれの効果もより多く認められた。

PD-L1の発現が高い腫瘍(合計陽性スコア[CPS]が10以上と定義)では、術前のmPR率が13.7%高く、再発率が34%低かった。

グレード3以上の治療関連有害事象の発生率は、両群でほぼ同程度であり、死亡例はペムブロリズマブ群で4名、標準治療群で1名であった。

グレード3以上の免疫介在性の可能性がある有害事象は、ペムブロリズマブ群の参加者の10%に認められ、その中にはグレード5の肺炎が1名含まれていた。

「世界中の何百人もの患者がこの重要な試験に参加しており、彼らの貢献を現在の標準治療を変えるために活かすことが大きな目標である」とUppaluri氏は述べた。

「この新たな知見は、現在の標準治療に術前補助療法および術後補助療法としてペムブロリズマブを組み込むことを支持している。20年以上ぶりに、この困難な疾患を抱える患者に新たな治療法がもたらされた」

今後、Uppaluri 氏はこの治療戦略の臨床導入を改善したいと考えている。

「この治療法が安全であることが明らかになった現在、手術や補助療法をどのように調整すれば、治療による治療による副作用から生じる患者の負担を軽減できるかを検討し始めることが可能である」

本試験の限界の一つは、試験結果の良好な転帰に対する術前補助療法および術後補助療法という治療構成要素の相対的な寄与に関する解析が行われていない点である。

免疫療法治療の両段階が抗腫瘍免疫応答に影響を与えた可能性はあるが、それぞれの段階が観察された臨床転帰にどのように寄与したかは明らかにされていない。

 

https://ecancer.org/en/news/26394-aacr-2025-adding-perioperative-pembrolizumab-to-standard-of-care-improves-outcomes-in-patients-with-newly-diagnosed-head-and-neck-cancer

(2025年4月29日公開)

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