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e-cancer:大腸がん 腸内微生物は化学療法の副作用から患者を救えるか?

27 May 2025

化学療法はがん細胞を殺すだけではない。

消化管内の微生物にも影響を与える。

UC San Franciscoの研究者らは、腸内細菌の一部がこれらの強力な治療の副作用を軽減できること、またある種の抗がん剤がこれらの防御細菌の働きを実際に高める可能性があることを発見した。

この現象は、医師が患者の副作用の重症度を予測するのに役立つ可能性があり、腸が十分に保護されていない人々を助けるサプリメントへの道を示している。

「これらの研究は、腸内マイクロバイオームと薬物毒性の重要な関係を強調している」と、UCSFの微生物学・免疫学教授 Peter Turnbaugh氏は述べた。

「この関係性をより詳細に理解すれば、がんやその他の疾患の治療を最適化するための新たな戦略が得られる可能性がある」

 

体内から薬物を排出する

Turnbaugh氏のチームは、フルオロピリミジン系と呼ばれる化学療法薬を服用している大腸がん患者の消化器系におけるマイクロバイオームの多様性がはるかに低いことを発見した。しかし、生き残った細菌は驚くべき働きを見せた。

「生き残った細菌は、化学療法剤を飲み込み、化学的に無害な副産物に変えることができた」と、消化器がんを専門とする内科学准教授のWesley Kidder氏とともにこの研究論文の共著者であり、UCSFのMedical Scientist Training Programmeの学生であるKai Trepka氏は述べた。

この論文はScience Translational Medicine誌に掲載された。

研究チームはまた、有益な細菌の量を測定することで、吐き気や嘔吐など、治療完了が困難になるような重篤な副作用が患者に現れるかどうかを予測できることも発見した。

研究者らが、化学療法による重篤な副作用を起こしているマウスにこれらの薬剤処理微生物を与えたところ、マウスの症状は大幅に改善し、人間がこれらの細菌をプロバイオティクスとして利用できる可能性があることが示唆された。

 

マイクロバイオームに影響を与える手がかり

5月20日にmBio誌に掲載された2番目の研究では、マイクロバイオームはビタミンK2を生成することで、化学療法のもう1つの一般的な副作用である痛みを伴うしびれやチクチクする感覚から患者を保護することが明らかになった。

研究者らが大腸がん患者56名のマイクロバイオームを調べたところ、フルオロピリミジン系薬剤が一部の微生物を死滅させ、他の微生物の個体数を増加させたことが再確認された。

化学療法中に増殖したものの中には、ビタミンK2を生成する非病原性大腸菌株が存在した。

フルオロピリミジン系薬剤で治療したマウスにK2を投与したところ、副作用が消失した。

副作用が少ないと報告した患者は、マイクロバイオーム中のK2も多かった。「長い間、マイクロバイオームはブラックボックスのように思われてきた」と、Kidder氏は述べた。

「われわれは今、小さな懐中電灯を照らし、どうすればそれをより良く、この場合はがん患者の転帰をより良くできるかの手がかりを見つけられるようになりつつある」

 

https://ecancer.org/en/news/26512-can-gut-microbes-save-patients-from-chemotherapy-side-effects

(2025年5月22日公開)

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