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e-cancer:乳がん 将来の薬剤は乳がんを助長する供給網を断ち切る可能性がある

11 Mar 2025

がん細胞は正常細胞よりも急速に増殖するため、エネルギーに対して飽くなき欲求を持っている

貪欲な性質を持つがん細胞は、エネルギーやその他の供給源を探して利用するために、さまざまな細胞機能を乗っ取る。その中には、正常細胞がエネルギーのバランスを維持するのを助ける酵素群も含まれている。

クレアチンキナーゼ(CK)と呼ばれるこれらの酵素は、ミトコンドリアで産生されたエネルギーを細胞内の必要な場所に輸送することを可能にする。

がん細胞は、貪欲な燃料需要を満たすために、このエネルギー輸送機構に依存している。

乳がん細胞の研究では、ユビキタスミトコンドリアクレアチンキナーゼ(uMtCK)と呼ばれるタイプのCKの重要性に焦点が当てられている。

Sanford Burnham PrebysとMayo Clinicの研究者らは、ヒトuMtCKの詳細な構造を明らかにし、エネルギー貯蔵分子であるクレアチンやアデノシン三リン酸(ATP)と結合した際の構造変化を示す研究結果を、2025年2月3日付けのStructure誌に発表した。

uMtCKの構造を確認するため、研究者らは低温電子顕微鏡(cryo-EM)を用いて画像を撮影した。

この技術により、研究者は個々の原子をレンダリングすることで、タンパク質とそのリガンドの3D画像の作成が可能になる。

これらの青写真は、がん細胞が細胞のエネルギー供給網を支配するのを阻止し、腫瘍の増殖を抑制または阻止する新たな治療法の設計に役立つ可能性がある。

uMtCKの3D構造とエネルギー輸送に関与する他の分子との相互作用の解明に加え、研究チームはまた、乳がん細胞における異常なエネルギー輸送を阻害する可能性を究明するため、唯一利用可能なCK阻害剤であるCKiも試験した。

研究者らは、CKiが乳がん細胞の増殖を効果的に抑制することを発見した。

この研究で得られた知見と用いられたツールは、この経路の阻害が乳がんの治療に有効であることの検証に役立った。

しかし、CKiはuMtCKに対して選択的ではないことが示されており、これは高い毒性をもたらす可能性のある他の細胞プロセスを停止させる可能性が高いことを意味している。

Cryo-EM法により得られた情報は、Mayo ClinicとSanford Burnham Prebysの研究者らによる共同チームが、uMtCKを選択的に阻害する新規の低分子を設計・開発するための基礎となり、より効果的で毒性の低い治療薬を提供できる可能性がある。

 

https://ecancer.org/en/news/26111-future-drugs-may-snap-supply-chain-fueling-breast-cancer

(2025年3月6日公開)

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