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25 Feb 2025
Hefei Institutes of Physical Science, Chinese Academy of SciencesのCHU Yannan教授が主導する研究チームは、肺がん細胞内の再現性のある揮発性有機化合物(VOCs)を特定するためのマルチメディウムアプローチ(MMA)を開発した。
Analytical Chemistry誌に発表された本研究は、VOCsによる非侵襲的肺がん診断に関する新たな知見を提供するものである。
ヒトの体臭に含まれるVOCsは、健康研究、特に非侵襲的肺がんスクリーニングにおいて重要な焦点となっている。
呼気中VOCsに関する研究は数十年にもわたって行われているが、信頼できるバイオマーカーに関するコンセンサスは得られておらず、in vitroにおけるがん細胞培養分析でも一貫した結果が得られていない。
これに対処するため、研究チームは、3つの異なる培地であるRPMI1640、DMEM、Ham’s F12を組み合わせ、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)を用いた非標的VOCs分析を提案した。
「新たに提案されたMMAによって、研究チームは、肺がん細胞(A549)と正常な肺細胞(BEAS-2B)を確実に分離することができるいくつかの重要なVOCsを発見することができた」と研究チームのメンバーであるGE Dianlong博士は述べた。
従来のシングルメディウムアプローチ(SMA)では数十種類の異なるVOCsが特定されたが、MMAでは2種類のVOCs(メチルブタノール異性体)のみが再現性を示し、がん性のA549細胞では低レベルであった。
動物モデルの皮下および原発性腫瘍組織を標的とした検出によるさらなる検証によって、これらの所見が確認された。
「この新たなアプローチは、がん細胞の普遍的な“指紋”を作るようなもので、将来、より正確で非侵襲的な肺がんの検出に希望を与えるものである」とGE博士は付け加えた。「これらの研究結果は、腫瘍ガスの生検の進歩にも役立ち、さらには中国伝統医学(TCM)の診断法を改善する可能性もある」
(2025年2月17日公開)