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e-cancer:血液がん ASH 2024:多施設共同研究により、教育水準と収入が急性骨髄性白血病患者の幹細胞移植へのアクセスに影響することが示された

25 Dec 2024

教育水準が低く収入も低い急性骨髄性白血病(AML)患者は、AMLに対する同種造血幹細胞移植を受けられる可能性が低い。しかし、この治療にアクセスできれば、教育水準や収入が高い患者と同等に移植の恩恵を受けられる可能性があることが、12月8日に開催されたAmerican Society of Hematology年次総会で発表されたFred Hutchinson Cancer Centerの新たな研究で示された。

本研究では、幹細胞移植の対象となるAML患者692名の社会経済的差異を示す郵便番号レベルのデータを分析し、地域レベルの教育水準の低さや、貧困指標(政府支援プログラムへの依存など)の高さが、移植前の死亡率の上昇や移植を受ける可能性の低下と関連していることが示された。

しかし、いったん患者が移植を受けると、社会経済的要因は移植後の転帰にそれほど顕著な影響を及ぼさず、介入は移植へのアクセスのための障壁を克服することに重点を置くべきであることを示唆している。

「この研究は、社会経済的背景の低い患者の移植へのアクセスを改善するために、対象を絞った介入が必要であることを浮き彫りにした」と、Fred Hutchinson Cancer Centerの臨床研究者で上席著者のMohamed Sorror博士(MD, MSc)は述べた。

「我々は財政的な障壁に対処し、ヘルスリテラシーを向上させ、治療への公平なアクセスを確保するために、サポートシステムを強化することに重点を置く必要がある」

研究対象患者のうち、高校卒業未満の住民の割合が高い地域に住む患者は、移植を受ける可能性が30%低く、移植を受けずに死亡するリスクが24%高かった。

さらに、補助的な保障収入などの政府援助プログラムへの依存は、移植を受けずに死亡するリスクが40%高く、移植を受ける可能性の22%減少と関連していた。

「この研究は、社会経済的地位が低い患者が移植へのアクセス障壁を克服できれば、生存アウトカムが社会経済的地位の高い患者と同等になる可能性があるという、我々の臨床的観察から生まれた」と、ASHで本研究を発表した筆頭著者でありFred Hutchの医師で血液・腫瘍内科のNatalie Wuliji医師は述べた。

「この分析によって当初の理論が裏付けられたため、我々は今回、移植へのアクセスの課題解決に向けた一歩を踏み出すことが可能になった」

同種造血幹細胞移植は、AML患者にとって重要な治療法である。National Cancer Instituteによると、2024年だけでも20,800名のAML新規症例が診断され、患者の5年生存率は31.9%である。

移植などの治療により、2013年以降、死亡率は毎年平均0.8%減少している。

本研究は、Patient-Centered Outcomes Research Institute、American Cancer Society、およびAmerican Society of Hematologyの資金提供を受け、主に学術センター13カ所のAML患者692名を対象に、世帯収入の中央値、教育水準、貧困レベル以下の世帯、SNAPを利用している世帯、およびその他の関連要因を含む社会経済的地位の属性を調査した。

Wuliji氏と研究チームは今後、移植へのアクセスを改善し、患者が社会経済的な障壁を克服できるようにするための介入策の探究に重点的に取り組む予定である。

 

https://ecancer.org/en/news/25784-ash-2024-multi-center-study-shows-education-level-income-impact-access-to-stem-cell-transplantation-for-acute-myeloid-leukaemia-patients
(2024年12月10日公開)

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