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08 Oct 2024
mRNAがん免疫療法(mRNA-4359)の第I相用量漸増試験の中間データから、進行固形がん患者に対する有望な結果が示された。
この試験中のmRNAがん免疫療法は、肺がん、メラノーマ、その他の固形がん患者を対象にしている。
進行がん患者19名が、1~9回の免疫療法を受けた。
研究者らは、この免疫療法ががんに対する免疫反応を引き起こし、疲労、注射部位の痛み、発熱などの副作用を伴いながらも、忍容性が良好であることを確認した。
European Society of Medical Oncology(バルセロナ)において、King’s College LondonとGuy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustの英国主任研究者が、この治療法の初のヒト試験でもある第I相試験の結果を発表した。
このmRNAがん免疫療法は、世界中で臨床試験段階にある数多くのがんワクチンの中のひとつに過ぎない。
この治療法は、一般的な腫瘍マーカーを患者の免疫系に提示し、それを発現するがん細胞を認識して攻撃するよう免疫系を訓練し、さらに免疫系を抑制する可能性のある細胞を排除する働きがある。
第I相試験は、免疫療法の安全性と忍容性を試験する目的で設計され、二次的および三次的な目的は、放射線画像診断および免疫学的反応を評価することであった。
反応を評価することができた16名の患者のうち8名は、腫瘍サイズは増大せず、新たな腫瘍も出現しなかったことを示した。
mRNA免疫療法は、多くの患者において免疫系を活性化し、対象となる2種類のタンパク質 (PD-L1およびIDO1) を認識する免疫細胞を血中に生成できることもデータによって示された。
研究者らは、一部の患者において、免疫療法ががん細胞を殺傷する重要な免疫細胞のレベルを上昇させ、免疫系ががんと闘うのを妨げる他の免疫細胞のレベルを低下させることを示した。
サンプルサイズが小さく、本研究の主な目的が安全性の確認と免疫療法の最適用量の決定であったことから、これらの結果は慎重に扱うべきであると著者らは述べている。
しかし、これらの有望な初期結果は、mRNA-4359のさらなる研究を支持するものである。
本試験では、免疫療法薬ペムブロリズマブと併用したメラノーマおよび肺がん患者の募集を継続しており、この治療の安全性および有効性に関するさらなる情報を得ることを目的としている。
本試験の英国主任研究者であり、King’s College Londonの実験腫瘍学准教授、Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustの腫瘍内科指導医でもあるDebashis Sarker博士は、次のように述べている。「mRNAがん免疫療法を評価するこの試験は、進行がん患者の新たな治療法を開発するための重要な第一歩である」
「我々は、この治療法が重篤な副作用を伴わず、忍容性が高く、身体の免疫系を刺激することで、がんをより効果的に治療できる可能性があることを示した。しかし、現時点ではこの研究は少数の患者を対象としているため、進行がん患者にどの程度有効であるかを判断するには時期尚早である」
「本試験は、メラノーマと肺がん患者の募集を継続しており、英国、米国、スペイン、オーストラリアで行われている大規模な国際的取り組みである」
Modernaの上席副社長兼治療薬・腫瘍学開発責任者であるKyle Holen博士(MD)は、次のように述べた。「mRNA-4359の第Ⅰ相試験の結果は、管理可能な安全性プロファイルを維持しながら、強力な抗原特異的T細胞応答を誘発する可能性を示しており、我々は大いに期待している」
「この新たなアプローチは、腫瘍の微小環境をより免疫が作用しやすい状態へと変化させる上で重要な要素となり、進行固形がん患者に希望を与える可能性がある」
(2024年9月13日公開)